シャープ、戴社長が事業本部を行脚--2017年最後のメッセージは創業者早川氏の言葉

 シャープ代表取締役社長の戴正呉氏は、2017年12月27日に、社内イントラネットを通じて、2017年最後の社員向けメッセージを配信した。

 「更なる成長に向けた“5つの蓄積”」と題し、シャープ創業者である早川徳次氏の言葉を引用しながら、シャープの今後の方向性について、社員にメッセージを送った。

戴社長が全国の全事業本部を訪問する「徹底会」とは

 戴社長は、12月18日に幕張事業所を皮切りに、全国の全事業本部を訪問し、社員と対話する「徹底会」を行っていることに触れ、「シャープの100年を超える歴史において、重要な節目となる東証一部復帰を機会に、3つの項目を、社員に直接伝えることを狙いとして、私と、野村(勝明)副社長、石田(佳久)副社長、橋本(仁宏)常務で訪問した」と説明した。

広島事業所訪問時に実施した徹底会
広島事業所訪問時に実施した徹底会

 3つの項目の1つ目は、「社員の皆さんへの感謝」だとした。

 「前回の社長メッセージや、12月14日の『感謝のしるし』で私の思いを伝えたが、このような機会を設けたのは、皆さんに直接お会いし、皆さんの顔を見て感謝の意をお伝えしたかったからである」と述べた。

 2つ目には、「次なる目標の設定である」とした。

 2016年8月の経営基本方針で、「経営幹部に期待すること」として、「チャレンジスピリット」や「スピード」など、8つの項目を掲げたが、最後の項目として掲げた「東証一部への早期復帰」を達成することができたことから、「この目標を成し遂げたいま、『中期経営計画の完遂』を次なる共通目標に掲げ、この必達を、社員全員で改めて決意したい。また、この目標達成には、従来と同様に、あるいはそれ以上に、チャレンジスピリット以下の7項目の実践が重要となる」とし、社員にこの意識の徹底を呼び掛けた。

2016年8月に発表した「経営幹部に期待すること」の内容を更新
東証一部への早期復帰により、2016年8月に発表した「経営幹部に期待すること」の内容を更新

 3つ目は、社会的責任を果たすうえで、「Be Original.」および「誠意と創意」の実践が重要であると再確認することだとした。

 訪問して実施している「徹底会」において、戴社長は、「シャープは今後、企業価値の最大化を目指す」とし、その具体的な目標として、「2000社を超える東証一部上場企業のなかで、上位50社に入る時価総額を目指していく」と宣言。「こうしたポジションにある私たちが担う社会的責任は、非常に重たいということを、改めて認識しなければならない」とした。

シャープの信条「二意専心」、「誠意と創意」に基づいた経営を

 さらに戴社長は、「創意をもって、世の中にない新しい商品やサービスを生み出し、売上げや利益の拡大を実現するとともに、誠意をもって、コンプライアンスや業務ルールを遵守し、社会の信頼を得ることが社会的責任を示すものになる」と語り、「私たちの原点である『誠意と創意』を実践してこそ、初めて、この責任を果たすことがでる。今後も、私たち一人ひとりが、二意(誠意と創意)にあふれる仕事を積み重ね、シャープをより価値ある企業、つまり社会から必要とされる企業へと成長させていこう」と語り、シャープの経営信条である「二意専心」、「誠意と創意」に基づいた経営を徹底する姿勢をみせた。

 一方で、今回のメッセージでは、「5つの蓄積」についても言及した。これは、創業者である早川徳次氏の言葉であり、将来訪れるチャンスを掴むためには、「信用」、「資本」、「奉仕」、「人材」、「取引先」を蓄積しなければならないとしていた。

 戴社長は、「先日、早川創業者のご息女より、東証一部復帰に対する感謝の言葉を頂戴したが、そのなかで、『上場と社会への貢献には“5つの蓄積”を図ること』という早川創業者の言葉を思い出した、という話があった」とし、「これから数多くのチャンスを掴み、さらなる成長を果たして、社会の発展に貢献することを目指すシャープにとって、この『5つの蓄積』は極めて重要である。社員全員が、日々、これを心掛け、業務に邁進してほしい」とした。

 メッセージのなかでは、早川氏の著書である「私の考え方」から、5つの蓄積に関する部分を要約して掲載している。

 内容は以下の通りだ。

<5つの蓄積>(早川創業者の著書「私の考え方」より要約)

  • 「信用の蓄積」は最も大切なことであり、人生の幸・不幸の分かれ道は、「信用」があるかないかで決まる。その「信用」の根本を為すものは“誠実”であり、日頃から全ての点で「誠実」を念頭において行動しなければならない。
  • 「資本の蓄積」があってこそ、チャンスに挑戦することができる。また、「資本の蓄積」は、会社の「信用の蓄積」にもつながる。さらに、体もまた「資本」であり、「健康の蓄積」も決して忘れてはならない。
  • 「奉仕の蓄積」は、世の中に感謝をお返しすることである。まず良い品を安くサービスする。社員に報い、適正配当で株主にお返しをし、取引先に良くすることである。さらに広く、公共福祉のために奉仕することも忘れてはならない。
  • 「人材の蓄積」は、自分自身が人を育成するところから始まる。良い人材を一人得れば、次々に良い人材とのつながりが開け、類は友を呼び、多数の優れた人材が自然と集まるようになる。
  • 「取引先の蓄積」は、事業の将来の保障につながる。自分だけが利益を得ようとはせず、利益がある時はお互いに儲け、儲からない時は相談して相手に迷惑をかけないように工夫することが大事。良き仕入先、良き販売先とのつながりを蓄積していくことによって、百年の事業が保障される。

 メッセージの最後に戴社長は、「年末年始休暇は、家族や友人と、1年間の労をねぎらう期間とし、ゆっくりと休み、心身ともにリフレッシュしてほしい」とする一方、「休み明けから再び、シャープの飛躍に向け、共に頑張っていこう」と呼びかけた。

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