“攻め”の商品企画でヒットを生み出す--パナソニック「プライベート・ビエラ」の舞台裏 - (page 2)

ロジカルにやらない、逆説を極めて作った“ひとり贅沢”というコンセプト

 そのため、商品企画にも独自の手法を数多く取り入れている。「競合がいない分、他社比較、分析はやらない。では何をやるかというとユーザーにとことん向き合うこと」と増田氏は言う。その一方で「お風呂テレビと家じゅうどこでもテレビの次を考えるべき時」として、新たな切り口の商品として生み出されたのが、UN-19Z1だ。


「プライベート・ビエラ UN-19Z1」。スピーカ部とモニタ部が取り外せる

 UN-19Z1は、プライベート・ビエラの中では大画面に位置付けられる19V型。さらに本格的なスピーカシステムを備え、モニタ部とスピーカ部の取り外しもできるという、全く新しい使い方を提案する商品だ。

 「お客様と向き合って商品を作ることは第一だが、それだけだと新しいコンセプトは生まれない。ほかの商品でやってきたユーザー分析から“お困りごと”を見つけ、それを設計やデザインとともに解決していくという、ロジカルな商品企画を一切やらなかった」と増田氏は話す。

 「従来の商品企画は今ある商品のお困りごとを解決する手法。Aに対してA+のものは生まれるが、全く違うものは出てこない。例えばガラケーの時代に、どれだけユーザー分析をしてもスマートフォンの発想は出てこない。新しい商品を考える時はロジカルにはやらない」(増田氏)。19Z1の商品企画は、設計、デザイナー、企画、宣伝などすべての担当者が集まり、全員で考えていったとのこと。チームメンバーが集まり、化学反応を起こすことが狙いだ。テーマは「自分たちが欲しいもの」「時代感にあったもの」の2つ。「今までの商品は一度忘れて新しいものを作ろうというプロジェクトとして立ち上げた」と増田氏は続ける。

 19Z1で軸になったのは、お客様が“新しい”と感じるコンセプトを創出するために「常識を疑うこと」。リビングで家族で大画面でみるというテレビの常識を、個室で一人で19インチで楽しむという“逆説”を突き詰めて生まれたのが、ひとり贅沢のコンセプトだったという。

 さらにプライベート・ビエラの視聴傾向として、ドラマ、バラエティを見ている人が多いというユーザー調査から、映画、スポーツ、ライブといったコンテンツも楽しめるプライベート・ビエラを目指し、ここでも従来の“逆”を行く企画を進める。

 「ここまできたときに、意識したのは“時代感”があるかどうか。SNSに追われず、あえて誰ともつながらない時間を持つ贅沢な時間を提供できる、ひとり贅沢のコンセプトは時代感に合っていると思った」(増田氏)と、商品コンセプトが生まれた経緯を話す。

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