普通の人々と同様、サンタもデータの痕跡を残す。そうした情報はすべて米コロラド州コロラドスプリングスにあるピーターソン空軍基地で、地上に伝えられる。同空軍基地では、約1500人のボランティアが現地時間24日午前4時から始まるシフトを分担し、終日、サンタの最新の状況について、子どもや大人からの質問に対応する。
Hache少佐によると、1-877-Hi-NORADにかかってくる電話の内容はすべてクリスマスに関するものだが、電話をかけてきた人がどのような質問をするのかは、ボランティアにも分からないという。トナカイの様子や、NORADが具体的にどのように情報を入手しているのかを知りたがる子どももいる。
Hache少佐は、「電話が鳴り止まず、喜び、そして皆の話し声であふれた状態になる。サンタの追跡に集中する人たちの騒音と言ってもいい」と述べ、長机が何列にも並べられ、ヘッドセット付きの有線電話機と、サンタが中心に映される巨大スクリーンが設置された現場の様子を説明してくれた。
何度も電話してくる子どももいる。2016年、ニュージャージー州に住むCarlos君は3度電話をして、毎回、Hache少佐の妻がそれに対応した。彼女は、午前2時になっても電話をかけてきたCarlos君に対し、眠らずにNORADに電話をかけていたらサンタは来てくれないよ、と懸命に伝えた。Carlos君からの電話は、NORADが2016年、23時間の間に受けた15万4192件の電話の一部にすぎない。ボランティアたちは2841件の電子メールも受信した。
電話が嫌いな人のために、NORADは「Android」と「iOS」向けにサンタ追跡アプリも提供している。さらに、2016年には、「Facebook Live」を通してNORADの司令部の様子をライブ配信した。NORADのウェブサイトでは12月1日から、クリスマスイブを楽しみにしているユーザーのために、カウントダウンのほか、クリスマスのゲームや音楽も提供している。検索エンジン「Bing」やMicrosoftの「Cortana」を通して、サンタを追跡することも可能だ。
車載システム「OnStar」を利用している人も24日、同サービスにサンタの現在地を尋ねることができる。OnStarは2016年、車内にいる人々から、サンタの最新情報を求めるリクエストを4567件受けた。
2017年に初めて行われる試みもある。Amazon製デバイスの米国ユーザーは、「Alexa」にサンタの現在地を尋ねることができる。
NORADはサンタを真剣に受け止めている。NORADの資料によると、サンタのソリは、「万能で、全天候に対応する、多用途の垂直型短距離離着陸機」なのだという。離陸時の重さは約8万個のガムドロップ(グミ)に相当する(参考までに、ガムドロップの平均的な重さは11gなので、約880kgだ)。排出量は機密扱いである。
だが、サンタはこれほど厳重に監視されることについて、どう思っているのだろうか。プライバシーに関する懸念はないのだろうか。自分のデータについて心配していないのだろうか。サンタからコメントを得ることはできなかったが、サンタはそんなことは気にしない、とChouinard大尉はわれわれに言ってくれた。だって、サンタは毎年、戦闘機のパイロットに手を振ってくれるのだから、とChouinard大尉は言い添えた。
サンタはNORADのサービス利用規約に目を通さずに署名してしまったのかもしれない。いずれにせよ、サンタはおそらく注目を浴びることに慣れているはずだ。2017年のクリスマスイブも、サンタはあなたを見守り、NORADはサンタを見守るだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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