(編集部注:本記事は、子どもや子どもの心を持った人、サンタクロースを心から信じている人に安心して読んでもらえる内容になっている。)
サンタクロースがクリスマスイブに世界中を駆け巡るとき、半世紀以上前から、彼には仲間がいた(もちろん、トナカイとは別に、という意味だ)。
それは、もっと温暖な場所で新生活を始めたいと思っている、いたずら好きの妖精でもなければ、やんちゃなホッキョクグマでもない。北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)が提供するさまざまなテクノロジのことだ。
1955年、米コロラド州で子どもたちがサンタに電話をかけられるサービスの広告が出されたが、誤植により、中央防衛航空軍基地(NORADの前身)の極秘ホットラインの番号がそこに掲載されてしまった。それ以来、NORADはプレゼントを待ち望んでいる世界中の子どもたちと同じような気持ちで、サンタの追跡という、少し風変わりな仕事を行っている。米国とカナダの領空を守るNORADによると、サンタは星の光より速く移動できるので、追跡するのは容易な作業ではないという。
この「NORAD Tracks Santa」の取り組みに、2017年で3度目の参加を果たすカナダ海軍のChris Hache少佐は、次のように語っている。「NORADには、北米の安全保障に利用しているテクノロジがたくさんある。われわれはそれと全く同じテクノロジを使って、世界中を駆け巡るサンタの安全を守ることができる」
そんなわけで、NORADは12月24日になると、防衛衛星の照準をソリと9匹の小さなトナカイに合わせる。
サンタは昔から、世界をまたぐ謎の多い人物ではあったが、政府の追跡をかわせるほどすばしこくはない(政府の追跡をかわせる人などいるだろうか)。
北米の北部国境の47カ所を結ぶレーダー拠点である、NORADの「North Warning System(北部警告システム)」が、クリスマスイブのサンタの監視にまず使われるテクノロジだ。NORADはこのシステムを利用することで、サンタがいつ荷物をまとめて北極の拠点から出発するのかを把握できる。
サンタがようやくカナダの領空に入ると、ケベック州バゴットビルで待機していた「CF-18」戦闘機がサンタの同国内での移動をエスコートする。カナダでのプレゼント配達が終わったら、カナダ人たちはサンタを米国人パイロットに引き渡す。
NORAD Tracks Santaの広報担当も務めるカナダ海軍のMarco Chouinard大尉によると、実は、サンタは戦闘機が追尾できるように速度を落とす必要があるという。従って、もしサンタが予定より遅れていても、それは彼のせいではない。
宇宙空間では、衛星がルドルフの赤鼻から放たれる赤外線信号を見張っている。さらに、NORADは、クリスマスイブにプレゼントを届けながら高速で移動するサンタ御一行を追跡するため、大都市や、自由の女神像などの重要なランドマークにカメラを戦略的に配置している。
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