12月12日〜12月18日のAppleに関連するCNET Japanのニュースをまとめた「今週のAppleニュース一気読み」。Appleは、6月の世界開発者会議WWDC 2017で年内の発売を発表していた一体型デスクトップMacの最上位機種、「iMac Pro」を12月14日に発売した。
iMacは同じWWDC 2017で刷新され、VR動画の編集にも耐えうる高い処理性能を獲得した。これまで「プロ軽視」を指摘されてきたMacのラインアップだが、iMac Proによって、ハイパフォーマンスを求めるユーザーに応えた。
プロセッサにはIntel Xeonを採用し、8、10、14,18コアを選択できる。最大クロックは4.5GHz、最大42MBのキャッシュを搭載し、大きなデータ量の処理が要求される8Kビデオ編集などをこなせる。
加えてグラフィックスの大幅な強化も目を見張る。AMD Radeon Pro Vegaは、最大22テラフロップスを実現するパフォーマンスを発揮し、VRや3Dレンダリングのリアルタイム化、ゲームプレイでのより高いフレームレートの実現などをもたらすとしている。
また、Appleのウェブサイトで明らかになったのは、「T2」と呼ばれるApple設計のプロセッサが内蔵されていることだ。これは発売前まで、iPhone 7に用いられているA10 Fusionプロセッサが搭載されている、という噂に対応するものだ。
AppleはT2プロセッサの役割を、Macに搭載されている様々なコントローラーを再設計して統合した、と説明している。具体的には、システム管理コントローラ、画像信号プロセッサ、オーディオコントローラ、SSDコントローラなどだ。
たとえば、T2の画像信号プロセッサは、iMac Proに搭載されているフルHDのFaceTime HDカメラとの連携で、トーンマッピング、露出コントロール、顔検出と組み合わせる自動露出・ホワイトバランス機能を実現するとしている。
また、MacBook Proに搭載されたT1がそうであったように、セキュリティ強化の役割を担う。T2は、セキュアブート機能が搭載されており、アプリの実行レベルやネットワーク接続などのレベルを3段階から指定できる仕組みだ。また外部ストレージやDVDなどからの起動も制限できる。
暗号化ストレージ機能についても、T2が一役買う。SSDのやプロセッサのパフォーマンスに影響を与えないようAESハードウェアを用いて暗号化を行う。
iMac Proは最小構成で、4999ドル(約57万円)からとなっており、オプションをすべて盛り込むと、18コアのIntel Xeonプロセッサ、AMD Radeon Pro Vega 64、128Gバイトメモリ、4Tバイト SSDストレージの構成となる。ディスプレイは5Kの解像度を持つ27インチRetina HDディスプレイだ。
「iMac Pro」、12月14日に発売へ(12/13)AppleはiPhone Xで、顔面認証システムFace IDを導入し、2018年以降もFace ID搭載のデバイスを増やして行くと予測する。その裏付けの1つといえるのが、AppleによるFinisarへの出資だ。
Finisarは1988年創業の光学系通信技術企業で、本社はシリコンバレー、カリフォルニア州サニーベールにある。従業員は1万4000人を数え、光ファイバによる伝送技術や、ストレージ、ワイヤレス製品などの技術に強い。
Appleは2017年5月に設立した10億ドルのAdvanced Manufacturing Fundを通じて、3億9000万ドル(約440億円)を投資する予定だ。
この投資を受けて、Finisarは米国テキサス州シャーマンにある閉鎖済みの工場を改装し、また500人の技術を有する従業員を雇用した上で、Face IDなどを実現するTrueDepthカメラに内蔵される垂直共振器面発光レーザー(VCSEL)を製造する計画だ。製品の出荷は2018年後半を予定している。
VCSELは、東京工業大学の伊賀賢一氏が1977年に考案したもので、一般のレーザーと異なり、基板面から垂直に光を出射することができる仕組みだ。大量生産の際に価格を下げることができる他、消費電力を下げる、よりコンパクトな実装などのメリットがある。
iPhone XシリーズへのTrueDepthカメラの搭載をより効率的に行い、消費電力を抑える効果がある。このことは、現在ディスプレイ側にのみ搭載されているTureDepthカメラを、背面にも搭載する可能性も考えられる。また、iPhone以外のデバイスへの搭載もあるだろう。
またAppleが、Finisarを買収ではなく、Advanced Manufacturing Fundを通じた出資としたことも意味を持つ。Appleはトランプ大統領から再三にわたって、「iPhoneを米国で製造せよ」と米国内の製造業軽視で批判を受けてきた。Appleが同ファンドを立ち上げたのもその批判の前後にあたり、すでにコーニングへの出資を行っている。
Appleがファンドを活用した出資という形を取ったことで、米国内の製造業と雇用を支えている点をアピールする狙いも含まれている。
アップル、「Face ID」などを支える部品メーカーFinisarに約440億円を出資へ(12/14)CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
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