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データを極めた異色の不動産テック「ターミナル」--リスクとコストを減らす技術 - (page 2)

加納恵 (編集部)2017年12月25日 15時43分
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不動産情報の“在庫の概念”が不正注文・空室詐欺を食い止める

――同様に不動産情報の正確性が不正注文・空室詐欺の減少に役立っているそうですね。

 それが2つ目のソリューション、adwhiteになります。これは不正にネットで購入したものを受け取り先に賃貸の空室が使われてしまうことを防ぐためのソリューションです。

 詐欺の手口としては、他人のクレジットカードとECサイトのアカウントを使い、ECサイトで買い物をします。その購入品を賃貸の空室で受け取り、転売で現金化するというものです。空室を受け取り場所として使うことで、詐欺の痕跡をたどりにくく、ECサイトアカウントの登録住所が正しいと判断するため、販売側が疑いをいだきにくい犯罪の1つです。

 問題が顕在化した段階で、対策案としてインターネット公開されている不動産広告情報が用いられましたが、先ほどの不動産広告の性質が関連し、空室か入居済みかを判断できず、不正注文、空室詐欺対策に具体的な対策が取れませんでした。

 adwhiteでは、賃貸物件に在庫の概念を持たせた情報を用いるため、ECサイトの配送先に指定されている住所が空室であるのかを判断でき、怪しいと思われるものの配送を止められるため、不正注文、空室詐欺を食い止める性質があります。

――ほかのビジネスにも活用できそうですね。

 この在庫の概念をベースにした新しいソリューションを計画しております。具体的には、ムダ配送の削減と新規キャッシュカード発行の与信精度向上を支援するソリューションです。ECサイトの利用頻度が高まる中、商品購入手までの手続きは日々簡略化されています。

 簡単にネットショッピングができるため、ECサイトに登録している配送先住所を引越しなどで変更することを忘れるケースが増加しており、荷物の届け先に足を運んではじめて空室だった事実がわかるなど、配送のムダが生まれています。このソリューションでは「配送先の住民が留守なのか転居なのか?」を示せるため、ムダ配送削減に貢献できると考えています。

 新規キャッシュカード発行は、対面受け取りが原則です。詐欺などに悪用する者は、キャッシュカードの取得策として、賃貸の空室を受取先住所に指定するケースが増加しております。その対策として、与信段階で受取先住所の状態を示し悪用を阻止することに貢献できると考えています。すべての悪用を食い止めることはできませんが、犯罪を確実に減らせます。

 このように、ターミナルが提供するソリューションは、さまざまな業界の負を解消できます。ほかの不動産テック企業が提供するサービスは、不動産業界の中で提供されるものが中心ですが、その中では、違う方向性となっております。

不動産の営業はインターネットの普及によって変わった

――在庫の概念を持つデータを具体的にどう生成しているのか教えてください。

 不動産業界の中でも、賃貸物件の運営、管理をする管理会社が利用している「賃貸管理システム」とターミナルのソリューションを連携し、データ生成しています。弊社のデータ利用を許可してくださった管理会社のデータのみを取得しており、総数で約1000万件を保有しています。

 管理会社に賃貸管理システムを販売している企業と連携させていただいていることがポイントで、管理会社に負担をかけることなく最新データの取得ができます。

 ターミナルが提供するソリューションを通じて、管理会社が維持、管理する不動産を守れるため、データ提供の許可をいただけることが多いです。

 販売価格も、おとり広告を削除した件数分、配送先の住所も処理できた件数分で課金するシステムにしていて、固定費をできるだけ抑えるようにしています。

――不動産情報は以前に比べ、項目数が増えていますが、データ取得に何か寄与していますか。

 不動産は同じものが存在しないと言われるため、1分の1を特定する技術に寄与しております。約10年前までは、項目数が少なく、地図も発展していなかったので建物すら特定できない情報がほとんどでしたが、今は建物名称までわかるようになりました。

 以前の不動産インターネット広告は、消費者の来店を得ることを優先していたため、広告される情報の数に価値がありました。現在は、広告情報を消費者が比較するため、正確な情報に価値があると言われています。昔は数を出すから質は問わないという体質でしたが、今は質を上げないと集客できない形に変わりました。

 さらに、不動産情報サイトで取得できない情報を「Google マップ」や「Google ストリートビュー」で取得できるようになりました。例えば、街の雰囲気や近所のコンビニやスーパーなどを調べた上で来店するケースが増えています。

 消費者が自ら比較するなら、不動産事業者が営業活動の一環で行う街案内などは効率化でき営業コストは下げられるはずです。また、自ら比較検討できるのならば、情報を隠す行為によって損をする時代になってきていると考えます。

――不動産業界は自分だけが知っている情報こそ価値が高いという認識がいまだに残っていますよね。

 広く情報開示すること価値があることを気づいた方は増えているように感じます。情報開示することで、営業コストは削減できますし、ご契約いただくまでの時間も削減できます。

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