スマートフォン内蔵のカメラは、ほんの5年前には夢にも見なかったような素晴らしいことを実現してくれる。そして、撮影する写真や動画の品質は、年々向上するばかりだ。
こうした進歩はレンズの品質や設定に帰すところも大きいが、それだけではない。スマートフォンに搭載されているプロセッサが写真や動画の品質に果たす役割は大きい。
Qualcommの新プロセッサ「Snapdragon 845」を搭載して2018年に登場する「Android」のハイエンドスマートフォンでは、従来より動画が明るく鮮明になり、色彩がポップで「リアル」になることが約束されている。
深度センサ技術の向上も、仮想現実(VR)での自動追跡や生体スキャンの可能性を開く。少なくとも小米科技(シャオミ)が、間もなく披露するフラグシップ端末「Mi 7」にこのプロセッサを採用すると宣言した。筆者は、サムスン電子、LG Electronics、Motorola、OnePlusのハイエンド端末にもSnapdragon 845が搭載されるだろうとみている。例えば「Galaxy S9」(仮)が出れば、Snapdragon 845が搭載されるのはほぼ間違いないだろう。
何が違うのか、その違いがユーザーにとってどんな意味を持つのかを説明しよう。
スマートフォンで撮影したペットの犬や子ども、友達の動画すべてが、そのままYouTubeに掲載できるレベルだとしたらどうだろう?
Snapdragon 845は、テレビの「HDR」(写真のHDRとは別)として知られる「Ultra HD Premium」動画撮影をサポートしており、動画撮影の流れを変えるほどの高い品質で撮影ができそうだ。
Ultra HD Premiumで得られるのは色の大幅な改善だ。従来の64倍の色相を表現できる。Snapdragon 835搭載スマートフォンで表現できる色相は1670万色だが、Snapdragon 845では10億色以上の色相の動画を撮影できる。
この尺度は技術用語で「色深度」と呼ばれる。この飛躍的な向上は、三原色である赤、黄、青の各色ごとに取得するデータのビット数を増やすことで実現した。Qualcommは従来、1ピクセル当たり8ビットを採用してきたが、Ultra HD Premiumの標準は10ビットだ。
色深度に加え、色域も「Rec.2020」規格に拡大した。つまり、スマートフォンのカメラでこれまでは不可能だった新しい色を捉えられるということだ。
こうした違いは、実世界からスクリーンへの飛躍を可能にする変化だ。筆者の同僚で、カメラマンでもあるGeoffrey Morrison記者の説明では「消防車の赤、ナスの紫、信号機の緑さえも、実際の世界で見える色と一致していなかったことに初めて気づくだろう」ということだ。
(「Galaxy S8」や「LG V30」、「OnePlus 5T」などに搭載されている)QualcommのSnapdragon 835も、Ultra HD Premiumでの再生はサポートしている。つまり、「Netflix」「Amazonプライム・ビデオ」や、YouTubeのHDR動画などでストリーミングされるHDRコンテンツを視聴することはできる。Snapdragon 845では、自分でそうした動画を何も考えずに製作でき、製作した動画をHDR対応テレビで視聴できる。
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