Siri搭載スマートスピーカ「HomePod」発売延期の理由--Appleニュース一気読み

 11月14日〜11月21日のAppleに関連するCNET Japanのニュースをまとめた「今週のAppleニュース一気読み」。

 Appleはアメリカ、イギリス、オーストラリアで2017年12月に発売を予定していたSiri搭載のホームスピーカ、HomePodの発売を2018年初頭へと延期した。

 HomePodは2017年6月に開催された世界開発者会議WWDC 2017で発表された。349ドルという価格と、ビームフォーミングを生かして1台でも部屋をサラウンドに包み込む音質にこだわった製品で、ストリーミング音楽時代のホームスピーカという位置づけとなっている。


 Siriを利用できる点も製品の特徴に挙げており、iPhoneやiPadと同じような質問にも答える能力があるが、他社と異なるのはあくまで音楽のナビゲーションを強調している点で、オーディオ製品という位置づけでマーケティングに組んでいることがうかがえる。

 HomePodは、Amazon Echo、Google Homeといったスマートスピーカに対するAppleの回答、と見られており、オーディオ寄りの製品と見せている点が、差別化要因と考えられてきた。

 現在のスマートスピーカ市場はAmazonが大きく先行しており、Googleも25%の販売シェアを確保するまでに成長している。各社とも、オリジナルモデルに続いて、小型モデル、ディスプレイ搭載モデルなどを相次いで披露しており、日本をはじめとする英語圏以外の国への展開も始まっている。

 もしもAppleがスマートスピーカ市場が「次のスマートフォン」になると考えていれば、少しでも遅れを取らないように取り組んでいたかもしれない。Appleが計画を延期した背景には、スマートスピーカ市場への期待は後退していることの表れと受け取れる。

 また、HomePodはApple Musicのユーザーを中心に展開されると考えられるが、Apple MusicユーザーとはすなわちiPhoneを利用している人たちのことだ。iPhoneユーザーにとって最大の関心事は999ドル以上の価格となったiPhone Xであり、同じターゲットに対して次々に製品を打ち出しても、財布が追いつかない、というマーケティング的な配慮があったとも予想できる。

 一方、Appleは2011年発売のiPhone 4S以来、音声アシスタントのSiriを搭載し、iPad、Macへの搭載を拡げてきた。Appleはスマートフォン市場では15%前後のシェアに留まっているが、スマートフォン向け仮想アシスタント市場では、41.1%のシェアを確保しており、Googleの45.9%に迫る。

 AppleはiOS 11でCoreMLを搭載しており、端末内での機械学習処理を活用したアプリを実現している。通信を伴わない機械学習処理は、音声アシスタントの応答速度を速めることが期待でき、今後の差別化要素として上げられているスピードで有利に展開できる可能性がある。

 またHomePodとともにWWDC 2017で発表されたiMac Proに関するアナウンスはまだ行われていないが、開発者はmacOSで「Hey Siri」機能の設定画面を確認した、とTwitterで公表している。これに関連して、最新のiMac Proには、iPhone 7に採用されていたA10 Fusionが搭載され、音声アシスタントや機械学習処理、暗号化などに生かされる可能性を指摘している。

 Appleはスマートスピーカ製品がなくても、すでにiPhoneなどの製品で音声アシスタントによる体験の向上に取り組んできた。そのためHomePod投入を急がなくても、同社のAIポートフォリオが他社に遅れをとるわけではない。

アップルの「HomePod」、リリースが2018年初頭に延期(11/20)
スマホ向け仮想アシスタントは「グーグル」がトップ--今後の差別化要素は応答速度(11/21)
「iMac Pro」、「A10 Fusion」プロセッサ搭載で「Hey Siri」に対応か(11/21)

テキサス州の銃乱射事件に関連し、Appleに捜査令状

 米国テキサス州サザーランドスプリングスの教会で発生した銃乱射事件は、26人が亡くなり、20人がケガを負う、テキサス州最悪の事件となった。

 Devin Patrick Kelley容疑者が使用していた自動車から押収されたiPhone SEについて、テキサス州公安局はデータにアクセスしようとしており、Appleに対して開示要請の捜査令状を出した。

 Appleのポリシーでは「相当な理由の提示後に捜査令状が発行された場合に限り、コンテンツを提供する」となっており、今回は捜査令状が出されていることから、Appleが持っている可能性があるiCloud上のデータを提供する可能性がある。捜査当局がデータを得たかどうかは明らかにされていない。

 Appleは2016年3月に、iPhoneのロック解除を巡って、米連邦捜査局 (FBI)と対立した。その際にAppleに行われた要求は、Appleのクラウド上にあるデータへのアクセスではなく、端末に施されたロックを解除する方法を用意せよというものだった。

テキサス州銃乱射犯の「iPhone」データ求め、当局がアップルに捜査令状(11/21)

訴訟関連:画面共有技術で特許侵害の疑い

 Aqua Connectとその子会社のStrategic Technology PartnersがAppleを相手に起こした特許侵害の訴訟に関連して、米国際貿易委員会(USITC)が調査を開始することを明らかにした。

 Aqua Connectらが訴えているのは、画面共有やリモートデスクトップに関連する技術で、許可なくAppleがmacOSやiOSにその技術を組み込んだとしている。

アップルに特許侵害の疑い、米で調査へ--「Mac」や「iPhone」の画面共有などで(11/16)

その他

アップル、イメージセンサ技術のInVisageを買収--「Face ID」に活用の可能性も(11/13)

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