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DVERSEが提供する“100mmの差”まで伝えられるデザイン向けVRソフト--聴覚、触覚への挑戦も - (page 3)

加納恵 (編集部)2017年11月16日 08時30分
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聴覚、触覚までもVRで再現する時代がやってくる

――今後の収益化はどう考えていらっしゃいますか。

 SYMMETRYをフリーソフトとして提供することで、ビジネスでも使えるVRを皆さんに知っていただくことができたと考えています。2月のリリースから世界100カ国に提供していますが、欧州は特に多くのユーザーに使用してもらっています。

 次の段階として「SYMMETRY EDITOR」を考えていて、これは有料で提供します。CADとゲームの3Dデータは全く違うもので、CADデータは、ゲームのように窓を開けたり、物が落ちたり、そういった動きはプログラミングされていません。それを実行するためにはゲームの3Dデータを作るのと同様の知識が必要になります。

 SYMMETRY EDITORでは、動きを簡単に追加できるような編集機能を設けます。引き出しを開ける、ドアを開くと風が入るといったエンターテインメント的な演出も提供することで、より実物に近いものをVR内で体験していただくことが可能になります。

 その一環として、10月に音響メーカーのゼンハイザーと共同で、VR空間での立体音響シミュレーションの実証実験「PROJECT OMNIVERSE(プロジェクトオムニヴァース)」を開始しました。これは、VR空間の建築デザインデータに対し、その場にいるようなリアルな立体音響を再現し、コンテンツのエンターテインメント性を向上するものです。将来的には、マンションや戸建て住宅の室内環境、コンサートホールのデザインや演出、店舗やオフィスデザインにおける室内音響の再現、コンテンツ開発におけるハイエンドな音響演出などの利用を想定しています。

――視覚、聴覚に続いて提供するものもありますか。

 次に重要なのは触覚だと思っていて、そちらも現在大学などと研究を進めています。触覚はザラザラ感と温度の2つでほぼ再現できることがわかっていて、例えば冷たいものは固いんですね。この2つをデータ化していって、温度と振動で再現することにもトライしています。

 現在は3D CADデータをPCに取り込むことによって提供していますが、今後はクラウドベースに変えていくことも考えています。今はその前段階としてどんな機能が使いやすいのか、なんの機能が求められているのかを確認している段階です。それらの問題がクリアされれば、クラウド化していきたいと考えています。


「次に重要なのは触覚。視覚、聴覚につづいてVR上で再現したい」

――フリーで提供し、ハードルが下がったところで有料化する、よく練られたビジネスモデルですね。

 VRは浸透のスピードがものすごく早いものではありません。DVERSEは設立から4年ですが、ようやく使える段階まで来ました。そういう意味ではある程度長いスパンで事業化を計画することが大事だと思っています。最近になってヘッドマウントディスプレイのラインアップも整ってきましたが、普及までには、まだ数年はかかります。

 すぐに収益化できなくても、市場の環境をステップごとに整えながら取り組んでいくことが重要だと思っています。

――VRとともにARも内見などに使われるケースが出始めましたが。

 私たちはVRとARは違うものとはとらえていなくて、VRでもARでも出すデータは同じで、それを見るデバイスが違うだけと考えています。

 SYMMETRYには、インターネットを介することで遠方にいる人とでも同じ空間を共有できるというメリットがあります。今までであればひざを突き合わせて、机の上で図面を開きながら打ち合わせをすることが当たり前でしたが、それぞれが同じVR空間に入ることで、距離の概念がなくなる。

 これが可能になると、時間と移動コストの削減につながります。SYMMETRYが提供するのは、従来までとは全く違う、新しいビジネスのやり方です。建設、デザイン現場における意思決定のあり方を変えていけるものだと考えています。

インタビュアー

赤木正幸

リマールエステート 代表取締役社長CEO

森ビルJリートの投資開発部長として不動産売買とIR業務を統括するとともに、地方拠点JリートのIPOに参画。再生エネ業界においては、太陽光パネルメーカーCFOや三菱商事合弁の太陽光発電運用会社の代表取締役社長CEOを歴任。政治学修士、経営学修士、コロンビア大学とニューヨーク大学にて客員研究員。

 



川戸温志

NTTデータ経営研究所 マネージャー

IT業界の経験に裏打ちされた視点と、経営の視点の両面から、ITやテクロノジーを軸とした事業戦略立案や新規ビジネス開発、アライアンス支援を得意とする。近年は特にX-Tech(不動産テック)やロボット、AIなど最新テクノロジー分野を中心に手掛ける。経営学修士(専門職)。

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