――3D CADデータをVR化するにはどんな工程が必要なんですか。
データを読み込むだけでVR化できます。ですから、3D CADデータさえあれば、どんな空間にも入り込めるのがSYMMETRYの大きな魅力です。ビジネスの現場で使うツールは、使う際に覚えることが多かったり、手間が増えたりすると、どんなにすごいことができても、使ってもらえません。
とにかく簡単でシンプル。そして、今までの仕事のやり方を邪魔しないものとして開発しました。新しく覚えていただくことがないように作っています。ユーザーインターフェースも、数分触ればどなたでも使えるようなシンプルなものを採用しました。この辺りの操作性はスマホアプリを参考にしていて“ほんの少し前”の使い勝手を意識しています。
例えば、人気のあるアプリはスマホ用であっても、ガラケーで使えるようなUIを採用していることがあります。それはあえて少し前のものに近いデザインにすることで、乗り換えやすさを意識しているのだと思います。
ビジネス用のソフトもそれと同じだと思うので、今の延長線にあるものを提案することで、覚える必要を感じさせない使いやすさを提供できます。
――操作性はシンプルですが、実際にVRを体験してみるとかなり驚きますね。
没入感を出すために、リアルさにはこだわりました。優先したのは空間の大きさと広さをリアルに感じられること。また壁のテクスチャは、木目なのか大理石なのかを自動的にソフトが読み取り、最新のグラフィックに書き換えるなど、よりきれいに見える工夫をしています。池やプールなどの水面も光の屈折を含めて変換することで、一番美しい状態で見ていただくことができます。時間の概念も持っているので、VR内の時計を進めることで、日差しの入り具合もわかります。
また、行きたい場所に合わせてクリックすることで、その場にすぐ行けるような機能も搭載しています。そのためスピード感は重視していて、ストレスなく使えるようにしました。
――パース図をベースに打ち合わせすると、実物と差が出てしまうことがありますが。
そのままのものが見せられるようになったのがポイントだと思います。パース図や3D CADデータで難しいのは、天井の高さが2400mmから2500mm変わったらどうなるのかわからないところにあるんですね。100mmの違いは、図面だと誤差のようなものですが、実際に立ってみると広さ、高さがまるで違う。そこは情緒的な感覚なんですが、その部分まで伝えられるのがVRだと思います。
――現場に関わる人の建築の知識の差はさまざまですが、それを埋める役割も果たしそうですね。
私たちが作っているのは、どちらかというと専門家以外の人が使えるものというイメージです。そのため専門家と一般の人が一緒に長く打ち合わせをするためのソフトになっています。段階でいくとローからミドル層を狙っていきたいと考えています。
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