「iPhone X」レビュー--iPhone 7から乗り換えて感じた進化点、Face IDの使い勝手 - (page 4)

Face IDとTouch IDの違いとは

 Face IDの登録はiPhone Xの前で首をぐるりと2回回すだけだ。これで顔の形状を正確に学習し、次からは化粧やアクセサリ、環境の明暗に関係なく、瞬時に顔を認証してロック解除やApple Payが利用できる。Face ID自体のスピードは申し分ない。

ホームボタンが廃止され、SiriやApple Pay支払いなど、役割の一部がサイドボタンに移され使用頻度が上がったことから、サイドボタンは大型化されている
ホームボタンが廃止され、SiriやApple Pay支払いなど、役割の一部がサイドボタンに移され使用頻度が上がったことから、サイドボタンは大型化されている

 標準の設定では虹彩認証も含まれるため、Face IDでロック解除する際には、iPhoneを見なければならない。また、当然だが、カメラに顔が映る範囲に入っていなければならない。これは、カメラアプリを起動して内側カメラに切り替えると、大まかな範囲を把握できるだろう。

 実際に使って見ると、例えばテーブルにiPhoneを置いている場合、ぐっと顔をiPhoneの上に近づけなければならないことがわかる。iPhoneを横にしたり、逆さにしている状態では認証してくれない。また顔も全て見えていなければならないが、片方の頬を手で隠しているぐらいであれば、認証してくれる。

 使う前は、指紋認証よりもより無意識にロック解除が行われるような印象があった。無意識なロック解除はセキュリティ機能を意識せず利用できる一方、決済などの場面では認証の明示性が薄れて、逆に不安になるのではないか、と予測していた。

 しかしFace IDは、普段の端末利用での自然さと、認証を行うという行動の明示性がバランス良く両立されているという印象を持った。

Face IDで最も早くロック解除とホーム画面を表示する方法

 さて、日常的にiPhoneを利用している人の中には、自分の慣れた行動を含めた、細かいスピードにこだわる方もいるだろう。

 iPhone 7と違う点は、ホームボタンを押し込みながら生体認証ができない点だ。Face IDで認証を行うのは、iPhone Xが顔の前に来てからであり、画面下縁から上へのフリックはどうしてもワンテンポ遅れてしまう。

 筆者が試した最も早いロック解除とホーム画面の表示は、ポケットから取り出す際に、画面のワンタップと下縁のフリックを行い、Face IDの待ち受け状態にしてiPhone Xを顔の前に持ってきて、ロック解除と同時にホーム画面が表示される、というものだ。

 もしロック解除のスピードにこだわりたいのであれば、この方法を試して欲しい。iPhone 6、iPhone 6s、iPhone 7ユーザーにこそ使って欲しいと思っている。iPhone Xはこれからの10年のスタンダードを作っていく存在として、Appleが送り出したスマートフォンだ。

 iPhone 8、iPhone 8 Plusの中間的なサイズに、iPhone 8 Plus以上の5.8インチディスプレイを搭載し、特別な価格設定が与えられたことから、iPhone 8 Plusの上位機種、と言う印象を持つ人も多いだろう。

 実際に触れていると、iPhone 8に近いサイズとiOS 11での扱いから、4.7インチのiPhoneの後継モデル、と言う位置づけが明らかになってきた。

 4.7インチユーザーにとっては、大画面に加え、デュアルカメラとTrueDepthカメラによって、ポートレートモードという大画面モデルのカメラの魅力を一挙に取り込むことにつながる点も、より大きなインパクトがあると感じた。

 ぜひApple Storeなどの店頭で、コンパクトなボディと大画面を両立した絶妙な存在である、iPhone Xを手に取ってみて欲しい。

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