筆者はiPhone 3Gを日本で契約して以来、9年間、ホームボタンがあるiPhoneを利用してきた。iPhone Xでは全面ディスプレイを搭載するため、ホームボタンを排除した。
Appleはホームボタンについて、世界で最も押されている多機能ボタンと評している。ゆえに、それを廃止するには、大きなチャレンジがあった。その中核となるのは、やはり「何か始めるときにホームボタンを押す」という習慣からの脱却だ。
実際、iPhone Xを無意識にポケットから取り出しながら、ちょうどホームボタンがあったあたりを親指でぐっと押し込んでいる自分に何度も気づいた。iPhone 8までなら、自分の目の前にiPhoneがたどり着くまでにTouch IDで指紋認証を済ませ、ホーム画面が表示されているはずだ。
1日に数十回は行うこの動作を変えることの大変さ、難しさを感じさせる。そこでAppleは、フリック動作をホームボタンの代わりに取り入れた。簡単な操作方法のリストは以下の通りだ。ちなみに、ロック画面やアプリ起動時に画面下端には横長のバーが表示され、操作する箇所を示してくれる。
また、ホームボタンに備わっていた役割は、他のボタンや機能に振り分けられている。
このように、ホームボタンの役割は、画面下部のフリックとサイドボタンに振り分けられた。
iPhone 7などのホームボタンがあるiPhoneを使っているユーザーからすると、躓きやすいのはアプリ切り替え画面の呼び出しの操作だ。フリックの途中で指を止める際、振動のフィードバックがある前に指を動かしたり離したりすると、単なるフリックと認識され、ホーム画面に戻ってしまうからだ。
また、アプリ切り替え画面を表示させ、アプリを強制終了するには、アプリ画面を長押しして、削除ボタンを表示させなければならない。ただアプリ切り替えを表示させて下から上にフリックすると、やはりホーム画面に戻ってしまう。
下から上のフリックは必ずホーム画面に戻る動作、というルールが徹底されており、これまでのインターフェイスとの整合性が損なわれている、混乱しやすい部分と指摘できる。
ただし、心配しないで欲しい。筆者は9年間のホームボタンがある操作性を、30分で克服し、それ以降は大きな混乱なくiPhone Xを使いこなせるようになった。
フリックだけで片付ける、魔法のような操作性を身につける時間もまた、iPhone Xの楽しい体験だった。
iPhone Xのカメラは、iPhone 8 Plusに準じる。iPhone 7と同じ1200万画素ながら、より高速化された新しいセンサと新しいカラーフィルタは、色再現やディテールの表現を高め、暗所撮影を強化している。
加えて、iPhone Xのデュアルカメラのうち、望遠カメラについては、f2.8からf2.4に明るくなり、また光学手ぶれ補正が内蔵された。これは、より遅いシャッタースピードでもぶれにくくなることを意味する。特に、望遠レンズを使ったビデオ撮影に威力を発揮する。
加えて、これまでFaceTime HDカメラとして搭載されていた内側のカメラは、TrueDepthカメラへと進化した。700万画素のセンサは共通だが、赤外線カメラとドットプロジェクタを搭載し、被写体の深度を正確に計測する。
このカメラによって実現しているのが、iPhone Xの新機能となるFace ID、Animoji、セルフィーのポートレートモードだ。
Animojiは、iMessageのアプリの1つとして提供されており、TrueDepthカメラを用いて顔の50もの筋肉を認識し、絵文字に表情を付けたり、自分の声に合わせて喋ったアニメーションを送信したりできる。
またセルフィーのポートレートモードでは、1つのレンズで、背景と被写体を分離し、背景をぼかす撮影を行うことができる。セルフィとポートレートの相性は抜群で、より魅力的なセルフィを撮影し、共有できるようになるだろう。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
先端分野に挑み続けるセックが語る
チャレンジする企業風土と人材のつくり方
日本のインターステラテクノロジズが挑む
「世界初」の衛星通信ビジネス
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
すべての業務を革新する
NPUを搭載したレノボAIパソコンの実力
NTT Comのオープンイノベーション
「ExTorch」5年間の軌跡