「iPhone X」レビュー--iPhone 7から乗り換えて感じた進化点、Face IDの使い勝手 - (page 3)

ホームボタンがない--でも操作は30分で慣れる

 筆者はiPhone 3Gを日本で契約して以来、9年間、ホームボタンがあるiPhoneを利用してきた。iPhone Xでは全面ディスプレイを搭載するため、ホームボタンを排除した。

 Appleはホームボタンについて、世界で最も押されている多機能ボタンと評している。ゆえに、それを廃止するには、大きなチャレンジがあった。その中核となるのは、やはり「何か始めるときにホームボタンを押す」という習慣からの脱却だ。

ホームボタンの代わりに、画面下部のジェスチャー操作が採用された。すぐに慣れるだろう
ホームボタンの代わりに、画面下部のジェスチャー操作が採用された。すぐに慣れるだろう

 実際、iPhone Xを無意識にポケットから取り出しながら、ちょうどホームボタンがあったあたりを親指でぐっと押し込んでいる自分に何度も気づいた。iPhone 8までなら、自分の目の前にiPhoneがたどり着くまでにTouch IDで指紋認証を済ませ、ホーム画面が表示されているはずだ。

 1日に数十回は行うこの動作を変えることの大変さ、難しさを感じさせる。そこでAppleは、フリック動作をホームボタンの代わりに取り入れた。簡単な操作方法のリストは以下の通りだ。ちなみに、ロック画面やアプリ起動時に画面下端には横長のバーが表示され、操作する箇所を示してくれる。

  • ホームボタンを押し込む動作:画面下端を下から上にフリック
  • ホームボタンを2度タップする簡易アクセス:画面下端を上から下にフリック
  • ホームボタンを2度押しするアプリ切り替え画面:画面下端から上にフリックする途中で、動きを止める
  • アプリ切り替え:画面下端を左から右にフリックして、アプリをめくれる

 また、ホームボタンに備わっていた役割は、他のボタンや機能に振り分けられている。

  • Touch ID:Face IDに変更。
  • ロック画面で2度押ししてApple Payを起動:サイドボタンの2度押しに変更
  • ホームボタンとサイドボタンの同時押しでスクリーンショット撮影:サイドボタンとボリューム上ボタンの同時押しに変更
  • ホームボタン3度押しでアクセシビリティのズーム機能呼び出し:サイドボタン3度押しに変更

 このように、ホームボタンの役割は、画面下部のフリックとサイドボタンに振り分けられた。

 iPhone 7などのホームボタンがあるiPhoneを使っているユーザーからすると、躓きやすいのはアプリ切り替え画面の呼び出しの操作だ。フリックの途中で指を止める際、振動のフィードバックがある前に指を動かしたり離したりすると、単なるフリックと認識され、ホーム画面に戻ってしまうからだ。

 また、アプリ切り替え画面を表示させ、アプリを強制終了するには、アプリ画面を長押しして、削除ボタンを表示させなければならない。ただアプリ切り替えを表示させて下から上にフリックすると、やはりホーム画面に戻ってしまう。

 下から上のフリックは必ずホーム画面に戻る動作、というルールが徹底されており、これまでのインターフェイスとの整合性が損なわれている、混乱しやすい部分と指摘できる。

 ただし、心配しないで欲しい。筆者は9年間のホームボタンがある操作性を、30分で克服し、それ以降は大きな混乱なくiPhone Xを使いこなせるようになった。

 フリックだけで片付ける、魔法のような操作性を身につける時間もまた、iPhone Xの楽しい体験だった。

iPhone 8にケースを付けて、ケースを付けないiPhone Xの上に置いてみた。サイズはほとんど同じになるが、iPhone Xの方が長さが若干長い
iPhone 8にケースを付けて、ケースを付けないiPhone Xの上に置いてみた。サイズはほとんど同じになるが、iPhone Xの方が長さが若干長い

TureDepthカメラの威力

 iPhone Xのカメラは、iPhone 8 Plusに準じる。iPhone 7と同じ1200万画素ながら、より高速化された新しいセンサと新しいカラーフィルタは、色再現やディテールの表現を高め、暗所撮影を強化している。

 加えて、iPhone Xのデュアルカメラのうち、望遠カメラについては、f2.8からf2.4に明るくなり、また光学手ぶれ補正が内蔵された。これは、より遅いシャッタースピードでもぶれにくくなることを意味する。特に、望遠レンズを使ったビデオ撮影に威力を発揮する。

iPhone Xの背面にあるカメラは、これまでのiPhone 8 Plusと異なり、2つのカメラが縦に並べられた。フラッシュ、マイクもカメラの出っ張りの中に配置されている
iPhone Xの背面にあるカメラは、これまでのiPhone 8 Plusと異なり、2つのカメラが縦に並べられた。フラッシュ、マイクもカメラの出っ張りの中に配置されている

 加えて、これまでFaceTime HDカメラとして搭載されていた内側のカメラは、TrueDepthカメラへと進化した。700万画素のセンサは共通だが、赤外線カメラとドットプロジェクタを搭載し、被写体の深度を正確に計測する。

 このカメラによって実現しているのが、iPhone Xの新機能となるFace ID、Animoji、セルフィーのポートレートモードだ。

 Animojiは、iMessageのアプリの1つとして提供されており、TrueDepthカメラを用いて顔の50もの筋肉を認識し、絵文字に表情を付けたり、自分の声に合わせて喋ったアニメーションを送信したりできる。


ホームボタン廃止によって搭載された生体認証、Face IDを実現するTrueDepthカメラ。3万点以上を照射するドットプロジェクタと、それを読み取る赤外線カメラを、ディスプレイにせり出すセンサハウジング部分に収め、暗所でも高速に顔認証し、ロック解除やApple Pay支払いなどを済ませてくれる
ホームボタン廃止によって搭載された生体認証、Face IDを実現するTrueDepthカメラ。3万点以上を照射するドットプロジェクタと、それを読み取る赤外線カメラを、ディスプレイにせり出すセンサハウジング部分に収め、暗所でも高速に顔認証し、ロック解除やApple Pay支払いなどを済ませてくれる

 またセルフィーのポートレートモードでは、1つのレンズで、背景と被写体を分離し、背景をぼかす撮影を行うことができる。セルフィとポートレートの相性は抜群で、より魅力的なセルフィを撮影し、共有できるようになるだろう。

Face IDを実現するTrueDepthカメラを用いたポートレートセルフィ撮影。被写体と背景を正確に分離し、印象的なポートレート撮影を実現できる
Face IDを実現するTrueDepthカメラを用いたポートレートセルフィ撮影。被写体と背景を正確に分離し、印象的なポートレート撮影を実現できる
TrueDepthカメラのAPIを活用したSnapchat。顔の部分にマスクの装飾をしつつ、背景をぼかしたポートレートモードでの撮影を行っている
TrueDepthカメラのAPIを活用したSnapchat。顔の部分にマスクの装飾をしつつ、背景をぼかしたポートレートモードでの撮影を行っている
自分の表情によって絵文字に表情をつけたりアニメーションを録画したりできるAnimoji
自分の表情によって絵文字に表情をつけたりアニメーションを録画したりできるAnimoji

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