シェアリングエコノミーを4年で日本に根付かせた「スペースマーケット」の効率的な戦略 - (page 3)

社員の4割がエンジニアとデザイナー、システム作りはサービスの肝


「レンタルスペースとしてオフィスの1席単位でも増やしていきたい」

――現在はレビューも蓄積され、貸し手、借り手ともに数を積み上げられていると思いますが、ここまで回るようにするにはセオリーがあるのでしょうか。

 借り手を集めるためにはクーポンを配布したり、マーケティング施策を実行したりといったことはやっています。貸し手、借り手を増やすためのSEOにも力を入れています。

 マッチングの精度を上げるために、過去の履歴や属性をかけ合わせて、選びやすいスペースをレコメンドしたり、よりスムーズに使いたいスペースにたどり着けるようにしたりするなど、サービス改善にも取り組んでいますが、これらはすべてエンジニアが仕組みづくりをしています。

 スペースマーケットでは、社員の4割がエンジニアとデザイナーで、ここの人材をきちんと確保できるかが重要ですね。システム作りはサービスの肝ですから。

 逆に不動産出身者はいません。スペース探しも問い合わせがベースで、このサービスに限っては、このほうがはるかに効率がいいです。

――今後増やしていきたいスペースはありますか。

 自治体が活用できていないスペースや、一般企業の会議室、さらにはオフィスの1席単位でも増やしていきたいと思っています。今働き方や遊び方が大きく変わってきていて、今までは使われていなかったスペースでも、活用できると思っています。

 もう1つは転貸できるオフィスがもっと増えるといいですね。1社で借りるにはちょっと広すぎる、家賃が高すぎると思っても、使っていない時間をレンタルすることで、より高いオフィスを借りたり、内装にお金をかけたりできますから。

 転貸については厳しいオフィスビルが多いですが、セキュリティ面はカメラをつけることでクリアできますし、基本的に本人認証をかけるので、それほどトラブルはないと思います。この辺りの自由度が増すと、貸し手にとっても、借り手にとっても新しい働き方が広がってくると思います。

インタビュアー

赤木正幸

リマールエステート 代表取締役社長CEO

森ビルJリートの投資開発部長として不動産売買とIR業務を統括するとともに、地方拠点JリートのIPOに参画。再生エネ業界においては、太陽光パネルメーカーCFOや三菱商事合弁の太陽光発電運用会社の代表取締役社長CEOを歴任。政治学修士、経営学修士、コロンビア大学とニューヨーク大学にて客員研究員。

 



川戸温志

NTTデータ経営研究所 マネージャー

IT業界の経験に裏打ちされた視点と、経営の視点の両面から、ITやテクロノジーを軸とした事業戦略立案や新規ビジネス開発、アライアンス支援を得意とする。近年は特にX-Tech(不動産テック)やロボット、AIなど最新テクノロジー分野を中心に手掛ける。経営学修士(専門職)。





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