オーナー目線で不動産業界を変える--ダイヤモンドメディアの世界を見据えた挑戦 - (page 2)

サービス業なのに接客時間が全体の約2割という矛盾

――ダイヤモンドテールを筆頭に、管理会社様向けリーシングマネジメントシステム「Centrl LMS(セントラルエルエムエス)」、オーナー向け不動産資産管理クラウドサービス「OwnerBox(オーナーボックス)」を提供されていますね。

 ホームページ制作を通じてさまざまな企業にヒアリングを重ねていくと、不動産仲介会社はサービス業なのに、接客するための時間が全体の2割程度に限られてしまっていることに気づきました。なぜなのか疑問を感じ、詳しい仕事内容を伺ってみると、「REINS(レインズ/不動産流通標準情報システム)」などから取得してきた物件情報を打ち込み直したり、物件の写真を撮影したりと、裏方の仕事がとにかく多い。

 仲介会社の人件費のほとんどを、こういった流通コストが占めていて、このコストは入居者や不動産購入者、オーナーが負担しているわけです。一度ざっくりと試算したことがあるのですが、おそらく年間で6000億円程度のコストがかかっていると見ています。この流通構造を円滑化、透明化していくことで、不動産業界全体をより発展させていく一助になるのではないかと考え、Centrl LMSを開発しました。

 Centrl LMSは不動産管理会社の募集業務を最適化する管理システムで、空き物件の入居者を探し、入居が決まるまでをサポートします。募集業務は不動産オーナーにとってかなり重要ですが、管理会社の業務内容を見てみると、裏方の仕事に圧迫されて、手が回りきっていないことがわかりました。

 また、仲介会社を通じて契約に結びついても、なぜ契約が決まったのか、もしくはなぜ内見したのにキャンセルになったのかという途中経過がまったく見えてこない。これは管理会社と仲介会社が分業しているから起こることで、市場でこの物件がどんな評価を受けているのか、内見した場合、入居者はいいと思ったのか、よくないと思ったのかが全くわかりません。

 こうした「なぜ」の部分を明らかにするのは、IT業界からすると当たり前ですから、Centrl LMSでこの部分を透明化しました。これにより、家賃を上げたら仲介会社の動きが活発になった、敷金礼金をゼロにしたら問い合わせ件数が増えた、内見の数は多いけれどキャンセル率が高いといった、情報が見えるようになります。

 かなりマニアックなシステムですが、データをもとにした説得力のあるレポートをオーナーと共有でき、新規オーナーの獲得にもつながるとご好評をいただいています。その物件ごとに最適な戦略を一緒に考えてくれる不動産会社を選びたいというオーナーのニーズに応えられるシステムだと思っています。


管理会社様向けリーシングマネジメントシステム「Centrl LMS(セントラルエルエムエス)」

――仲介会社や管理会社の実績を見える化するのは今までにない仕組みですね。

 その見える化をさらに突き詰めたのがOwnerBoxです。これはオーナーの不動産資産をマネジメントするためのサービスで、部屋単位の収支をウェブ明細ですべて見られるようにしました。管理会社とオーナーをクラウド上でつなげることで、同じデータを見ながら賃貸経営の戦略を立てられることが特徴です。オーナーからすれば不動産資産は資産全体の一部でしかなく、資産全体のポートフォリオをどう最適化し続けるかがもっとも重要だと考えているので、ほかの資産を管理するサービサーとの連携を重視しています。現在は先行してマネーフォワードと業務提携しており、毎月の不動産収入のデータを連携し、マネーフォワードのユーザーであれば、そのデータをそのまま確定申告に使えるようにしています。

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