働き方改革の次なる一手?--IoTによる“健康的”な職場環境づくり

 世界最大手の不動産サービス会社のCBREオランダ本社(アムステルダム)が、7月に「The Snowball Effect of Healthy Offices」(健康的なオフィスの雪だるま式効果)という興味深いレポートを報告した。オランダ東部オーファーアイセル州にあるトゥウェンテ大学との共同調査によるレポートで、健康的なオフィス環境とそこで働く人びとの効率の相関性を調べたものである。


CBREのHealthy Offices ウェブサイト

 調査はCBREアムステルダムオフィスで行われた。オフィスの中にヘルシースポットという空間を2つ設けて、以下の2つの項目で環境を変え、124人の従業員を7カ月間ほど追跡調査した。

  • Natural Space(オフィスや食堂など従業員の目に触れるところに観葉植物を増やす)
  • Right Lighting(朝は暖かく、昼は明るく、夜はソフトといった24時間周期に合わせた照明)

 そのほか、任意で参加できる健康関連・精神保健の3つのオプションも加えた。

  • Healthy Nutrition(午後にナッツなどのスナック、コーヒーの代わりにミントやフルーツが入ったウォーターピッチャーを用意)
  • Mental Balance(メディテーション、ヨガ、マッサージや仮眠などができる部屋を2室用意)
  • Physical Exercise(メディシンボール、フィットネスバイク、トレッドミルなどの器材を設置するほか、ウォーキングミーティングなどを推奨)

理論を証明する調査

 従業員は、3グループに分けられた。

  • グループ1:ヘルシースポットで働き、健康状態、フィードバック、睡眠などが計測できるアクティビティトラッカーをつけ、ゲーミフィケーションなどで健康的なアクティビティに積極的に取り組む
  • グループ2:ヘルシースポットで働くがアクティビティトラッカーを装着しない
  • グループ3:リサーチ活動や調査に従事し、オフィス環境は従来のままで変化なし

 アクティビティトラッカーのほか、社内にビーコンセンサをつけて従業員が就業中にどれだけ移動するのかも調査。調査中は、2つのヘルシースポット、2つのそうでないスポット間の定期的な移動、チェックシートによるサーベイ、インタビュー、毎月のタスクパフォーマンステストなども行われた。

 オフィスの環境改善は、理論上でも従業員の健康と能力を引き上げるものであるとしているが、その理論を裏付けるように、タスクパフォーマンスは、

  • Natural Spaceで10%
  • Right Lightingで12%
  • Healthy Nutritionで45%
  • Mental Balanceで30%
  • Physical Exerciseで12%

 の改善という結果が出た。またこのような職場環境、活動を通じて、自身の健康への自覚が育まれ、それは家庭でも生かされるようになるという。

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