そのトレンドを読み取るかのように、オフィス環境に注力したスタートアップも増えている。
オランダのユトレヒトを拠点にするQwiksenseは、オフィスのCO2レベル、室温、空気の質などを計測して改善するアルゴリズムを開発している。インドア・クライメイト・レイティング(Indoor Climate Rating)という指標を4つのクラスに分け、快適な環境をラベリングすることで、簡単にビル内の環境をチェックできる。
同国のデルフト工科大学のスピンオフとして設立されたOfficeVitaeは、開発したワイヤレスセンサボックスを各デスクに置くことでより正確なデータを確保するシステムを開発。
CO2、湿気、室温、空気の流れ、占有状態のほか、騒音、照明、従業員の移動などをリアルタイムで収集し、2Dのフロアプランでビジュアル化して分析、改善を提案する。ユーザーはデスクトップ、スマートフォンのアプリを使って自分がいる空間の室温を調整できるほか、エネルギー消費を自動的に低減するエコスイッチなども備える。
OfficeVitaeのCEO、Tako Werts氏は従業員の生産性のみならず、病欠によるコスト損も軽減できることから、健康的なオフィス環境を創出することは経営面からでも有利に働くはずであるという。
人びとの行動は環境に左右される。たとえば、スーパーの入り口に並ぶ花や、色鮮やかな果物やパン屋に漂う小麦粉のよい香りに脳が反応して購買行動につながることが知られている。今や当たり前の考え方なのに、1日の3分の1を過ごし、生産性が何より重要視される職場環境はないがしろにされてきたのではないかとCBREレポートは指摘している。
企業のCSR活動でも、従業員が働きやすい職場環境の創出は重要項目として位置付けられているはずだが、概念を掲げるだけで終わっている場合も多いのではないか。今やIoTによって従業員、企業ともに幸せな職場環境を作ることは技術的に可能なのである。
CBREのレポートでは、職場ストレスへの関心はさらに高まっていくこと、また今後10年間で才能ある人材を募集・確保したい企業の条件として、健康的なオフィス環境が必須条件になるだろうと予測している。
(編集協力:岡徳之)
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