「父親にももっと妊娠に関わってもらいたい」――そう思う妊婦は少なくないようだが、実際に体の変化や胎動を感じる母親と違い、父親が妊娠期から赤ちゃんをリアルに感じることは難しい。
そんな悩みに応えようと、デンマーク・コペンハーゲンの「First Bond Wearables」は、赤ちゃんの胎動を父親に伝達するブレスレット「Fibo」を開発した。母親と一緒に胎動を感じるセンセーションは、「イクメン」の多い北欧を中心に広がっている。
Fiboはまるでジェームス・ボンドが身に着けるガジェットのような、クールな時計といった外観。このブレスレットの内部には4つの回転ボールが付いていて、母親のお腹に着けたモニター装置が赤ちゃんの動きを検出するとそれが回転し、ユーザーの手首を押す仕組みになっている。
4つのボールはそれぞれ大きさが異なり、赤ちゃんの動きの違いや強弱をこれで表現する。たとえば、赤ちゃんがしゃっくりをすれば小さなボールが軽く振動し、赤ちゃんが音楽に合わせて動いていたら、中ぐらいのボールが手首を押す。父親は胎動をリアルタイムに、リアルな動きで感じることができるのだ。
このブレスレットを開発したのは、コペンハーゲン・スクール・オブ・デザイン・アンド・テクノロジー出身のジュエリーデザイナー3人。在学中のスクールプロジェクトとして始まり、周囲の好評を得た後、2016年にコンセプトを立ち上げ、2017年に会社を設立した。GSMを使って胎動を伝達するモニター装置は、別のスタートアップ企業が開発したという。
Fiboのクリエーターの1人、サンドラ・ペイトゥルストツィア氏はプロジェクトの動機について、「父親にもっと妊娠期に関わってもらいたいと思った。母親は身体の変化やお腹の中で育つ小さな命を感じる一方で、父親は置いてけぼりになりがちだから」と語っている。
Fiboはまだ開発段階にあるが、商品化を目指し、現在は複数のデンマーク企業と協力しているという。2017年2月にはドイツ・ミュンヘンの「ウェアラブル・テクノロジーズ・イノベーション・ワールドカップ」で最終選考5社に残ったほか、2017年5月にはデンマークの「イノベーティブ・ビジネス」イベントで賞金を獲得した。
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