Amazonは自社の事業戦略の推進が得意なだけでなく、あらゆる競合相手の基本計画を動かすことも得意なようだ。
どんな企業も、業績発表の電話会議や公開フォーラムで、Amazonに関する質問を受けることは避けられない。なぜだろうか? 同社のプレスリリースの「Amazonについて」の説明を読んでみよう。
Amazonは4つの理念を指針としています。競合他社ではなくお客様を起点にすること、創造への情熱、優れた運営へのこだわり、そして長期的な発想です。
この簡潔な理念は、競合にとっては大きな頭痛の種だ。Amazonが競合に集中しないとすれば、競合の方がこのeコマースとクラウドの巨人に集中しなければならないことになる。
先ごろ報じられたなかから、Amazonに対抗するいくつかの動きについて考えてみよう。
GoogleとWalmartは、「Google Assistant」搭載「Google Home」利用のショッピングで提携することを、米国時間8月23日に発表した。この提携の下、Google Homeを持つ消費者は、Walmartの商品をこのスマートスピーカ経由で購入できるようになる。WalmartはCostcoやTargetと同様の取引をGoogleと結んだことになる。Amazonが今後Alexaをeコマースの推進に活用していくことは明らかで、その影響力をWalmartは恐れたとみられる。GoogleはAlexaの勢いに反撃する必要があり、Walmartは音声によるショッピングのパートナーを必要としている。Googleは二重の特典として、Google Cloud Platformの顧客としてWalmartを獲得できるかもしれない。WalmartがAmazon Web Services(AWS)を使うことはまずないからだ。
なぜか? Atlanta Business Chronicleによると、米ホームセンターチェーンHome Depotの前最高経営責任者(CEO)、Frank Blake氏はAmazonを「dark star」と呼び、Alexaは最終的にはAmazonの製品を優遇するだろうと語った。Blake氏は「すべての小売業者は、Alexaと付き合うための戦略を見出さなければならなくなる」と述べている。
Appleはオリジナルコンテンツの獲得と制作に10億ドルを投資すると報じられている。AppleはNetflixやFacebook、Google傘下のYouTubeとの有利な競争を狙っていると主張する向きもある。だが、Amazonはプラットフォームを持っており、「Amazon Prime Video」が消費者の手に動画サービスを届けている。Appleは、NetflixとAmazonに対抗するためにオリジナルコンテンツが必要だ。ちなみに、NetflixのサービスもAWS上で運営されている。
AmazonがWhole Foods Marketを買収すると発表してから、Amazonが実店舗型の小売業者を打倒するというシナリオがこれまでになく駆けめぐっている。筆者は以前、Amazonによる全面征服というシナリオは少し大げさだと指摘した。
だが、AmazonのWhole Foods買収が完了した今、2社統合の取り組みは多数の小売業者の心配事になっている。例えば、以下のような点だ。
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