Appleはスマートフォンを別世界への窓に変えようとしている。米CNETは先頃、その取り組みの最初の成果を目の当たりにした。
われわれは、現実世界の部屋の隅にIKEAのバーチャルなアームチェアを置いてみた。そのアームチェアはいかにも本物らしく、それがない時よりもあった時の方が部屋のレイアウトが現実的に見えたほどだ。
ほかにも、実際には存在しないカップケーキをデコレートしたり、床の上をついて回ってきた「はらぺこあおむし」が美しい蝶に変身するのを目撃したりした。
面白いGIFでいっぱいの世界を歩き、自分たち独自のリミックスを作って、それらのGIFに「返信」したりもした。そして、ドラマ「ウォーキング・デッド」のゾンビたちが現実世界に侵入してきたところを、刀やクロスボウで倒せるようになる日が近い将来訪れることを、この目で確認した。
Appleが「ARKit」を発表してから、まだ3カ月もたっていない(ARKitは、誰もが「Pokemon GO」風の拡張現実アプリを作ることができるフレームワークで、2017年秋の「iOS 11」のリリース後に、そうしたアプリが無数の「iPhone」および「iPad」で利用できるようになるはずである)。しかし、ARKitには、すぐにメインストリームに普及しそうな雰囲気が既にある。
そう考えるのは、筆者が見た特定のアプリ群が素晴らしかったから、というわけでもなく(その多くは、未完成の試作品のように感じられた)、話を聞いた全ての開発者がAppleに絶賛の言葉を贈っていたからでもない(われわれ自身は、多くのデモに触れることが許されなかった。IKEAは、ゆくゆくは、同社の有名な組み立て式家具のカタログに含まれる製品の相当数をARアプリで提供したいと考えているが、現時点でARに対応する製品はごくわずかだった)。
筆者がARKitが普及しそうだと考える根拠は、これらの開発者、そして、ほかの多くの独立系開発者を突き動かし、ほんの数週間のうちにARKitで画期的な試作品を多く生み出すに至らせた、純粋な「期待感」にある。ARの巻き尺を見たことのある人はいるだろうか。インタラクティブなAirbnbや、野外フェスティバルで友達を見つけるというコンセプトについては、どうだろうか。
そうした期待感は広まっており、何をするにしても「それ用のARアプリがあるよ」というフレーズが当たり前になるであろうことは、想像に難くない。
Googleが米国時間8月29日、ARKitと競合する「ARCore」を発表したことも、驚くに値しないだろう。
しかし、われわれがAppleの最初のARKitアプリ群から感じ取ったのは、期待感だけでもなかった。
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