この薬箱を活用した実証実験は、6月27日~7月4日まで、薬剤師を含む全国の一般消費者モニター8名で行った。
被験者宅にICタグ薬包と通信機能付き薬箱を設置。1日3回の服薬に対し、定刻になるとiPadの画面に服薬時刻を知らせる表示やアラート音を発信。服薬状態や残薬量などのデータを医師を含む第三者がモニタリングした。
実証期間中の服薬率は全体の95%で、うちアラート音や画面表示によって「飲み忘れ」を防止した回数は全体の21%だったという。
家庭の残薬量や過去の服薬履歴の把握に役立ったほか、遠隔地の家族など見守りによる安心感があり、かかりつけ薬剤師の在宅訪問薬剤管理に対する負荷軽減といった有効性を確認できたとしている。
服薬しているかどうかは患者からの聞き取りでしかわからなかったが、「状態が改善しないとき、薬の量が不十分だからなのか、飲んでいないからなのかがわかる」といった医師の声もあったという。
一方で、薬箱から薬を抜いたところで服薬したとカウントされるため、本当に口の中に入れているかどうかまではわからないという課題もある。また、外出しているときの管理をどうするかといった課題があり、今後はApple Watchを活用することも考えているという。
現時点では「あくまでプロトタイプ。重篤な服薬管理は、製薬会社との提携も考えられる。あるいは、薬という枠をやめてパッケージ製品からの見守りもありえる」とし、今後の発展に役立てるとした。
この実証実験の詳細は、7月12日から14日まで開催される「国際モダンホスピタルショウ 2017」のトッパンブースで紹介予定だ。
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