Apple Pay Cashでの送金の仕組みについて触れたが、それを受け取ったときの話もしておこう。Apple Pay CashをiMessageで受信すると、自分のWalletアプリにあるApple Pay専用のキャッシュカードに、受信した資金が入る仕組みだ。これも、他の個人間決済サービスと同じだ。
たとえば食事をしたメンバーから、割り勘分で、50ドルを集めたとする。すると、Apple Pay Cashが50ドル分、Apple Pay Cash Cardに貯まる。
この50ドルのApple Pay Cashの使い道は3つある。1つ目は、すぐに、接続している自分の銀行口座に入金する方法だ。もちろんそこにかかる手数料は無料で、割り勘のときに集めた50ドルは、そのまま自分の口座に入金できる。ただ、もう2つの説明をするため、ここではまだ口座に戻さないでおく。
2つ目は、他の人への個人間送金のための資金として利用する方法だ。たとえば、別の飲み会に顔を出して、ビール1杯だけ飲んで帰る際、テーブルの会計はまだ閉じていないため、先に自分だけ支払うわけにもいかない。そこでビール代の6ドルをその友人にApple Pay Cashで送金する場合、先ほどの50ドルから6ドル分を送る。結果、手元のApple Pay Cashは44ドルになる。
そして、ここで注目したいのが、3つ目の方法だ。Apple Pay Cashの資金は、店舗などでのApple Payでの決済にも利用できるのだ。
たとえば、Apple Payに対応するWhole Foods Marketで25ドルの買い物をした時、普段利用しているクレジットカードを登録したApple Payではなく、手元にある44ドルのApple Pay Cashを使って買い物ができるようになる。買い物をして残り19ドル。これを、自分の銀行口座に戻せる。
Apple Pay Cashの最大の強みは、Apple Payに対応する店舗で利用できる点にある。既にAppleは、Apple Pay利用店舗を大きく拡げており、2017年2月の段階で、全米の36%の店舗でApple Payの利用が可能となった。
カリフォルニア州サンフランシスコ郊外の都市、バークレーで生活していても、確かに地元系のスーパーなどで利用可能になる店が増えており、別の戦略を持っているであろうチェーン系のスーパーマーケット以外では、クレジットカードを取り出すことはなくなったほどだ。
個人間送金の資金を、こうした日々の買い物に利用できる点は、Apple Pay Cashが持つ非常に大きな強みであり、競合がまだまだ取り組めていない点でもある。
また、多くのユーザーがApple Pay Cashを利用し、その利便性からCash Cardに資金が貯まるということは、一定量の資金がAppleの手元に一度プールされることを意味する。
おそらくその金額がどれだけになるか、公表されることはないかもしれないが、Appleにとっては、新しい金融サービスの提供など、新しい銀行のようなサービスを行う可能性をもたらすことになるのだ。なお、Apple Pay Cashのサービスは、当初、iOS 11配信の2017年秋から米国からスタートする。日本でこのサービスを試すことができるまでには、時間がかかることが予想される。
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