小売業界を震撼させたアマゾンのWhole Foods買収が意味するもの - (page 2)

Natalie Gagliordi (ZDNET.com) 翻訳校正: 川村インターナショナル2017年06月23日 07時30分

 「Amazonにとっては、Prime会員をWhole Foodsの新しい特典プログラムに自動的に加入させるチャンスになる。Amazonアプリを使って食料品の代金を支払ったり、店内にいるときに『Alexa』が作成した買い物リストをアプリと同期させたりするといった選択肢も提供できるかもしれない。新たに発生するアプリのダウンロードとAlexaの購入という相乗効果により、Amazonは会員がオフラインで何をしているのか把握できるようになる。これは豊富なデータである」(Franson氏)

 さらに、Whole Foodsの約3000万人の顧客(その多くは富裕層)は、既にAmazon Primeの会員でもある可能性が高いため、これら2つのブランドの結びつきはさらに強まるだろう。以下にJPMorganのリサーチメモの抜粋を紹介する。

 Whole Foodsは現在、1週間あたりの来客数が約800万人で、3000万人の顧客がいる。これらの顧客は、Amazonの想定する米国内の6000万世帯と大きく重なるとわれわれは考えている。

 Whole Foodsの買収により、われわれがPrime会員と大きく重なると考える市場で、Amazonは464の店舗を手に入れる。より広範な食料品市場がオンラインへの移行を進めており、そのペースは今後加速していく可能性が高いとわれわれは予想している。

 Whole Foodsはどうかというと、同社はデジタル変革に関して、若干時勢に後れをとっていた。Whole Foodsは2015年、自社のサプライチェーンとマーチャンダイジングシステムの刷新を目指して、エンタープライズソフトウェアベンダーのInforと共同革新に関するパートナーシップを締結した。Whole FoodsはMicrosoftの「Azure Active Directory」ソフトウェアも使用している。

 2016年、Whole FoodsはInstacartとのパートナーシップを拡大して、店舗のネットワークを構築し、オンライン注文と当日配達を実現した。Amazonによる買収がWhole FoodsとInstacartとの関係にどのような影響を及ぼすのかは現時点では不明だが、Amazonはおそらくこのパートナーシップを長期間維持しようとは考えていない。

 言い換えると、Whole Foodsは流通網の管理とデジタル化に関して革新の機が熟しており、AmazonがITインフラストラクチャに関して提供できることはたくさんある、ということだ。

 Amazonが食料品分野への取り組みで、どれだけの成功を収められるのか予想するのは困難だが、現在のところ、投資家は強気な見通しを持っており、AmazonのCEOのJeff Bezos氏が何か重要なものをつかんだと考えているようだ。実際に、Whole Foodsの買収が発表された日、Amazonの時価総額は110億ドル以上増加した。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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