スマートスピーカは聞き取り能力も優秀だ。そうなると、自分の会話が外に漏れるのではないかと心配になってくるかもしれない。
この問題は、Appleが新製品「HomePod」の発表でセキュリティ面とプライバシー面を話題にしたことから浮上した。HomePodは「Siri」搭載のスピーカで、「Amazon Echo」と「Google Home」に対抗する製品だ。
家庭用スマートスピーカが大量に売れている今、この点について考えるのは興味深い。GoogleもAmazonも、自社の音声アシスタントの優秀さと便利さについてはいろいろと語っているが、セキュリティやプライバシーについてはほとんど触れていないからだ。
こうした家庭用音声アシスタントの動作は、基本的にどれも変わらない。決まったキーワードで起動してから認識を開始し、音声を記録して各社のサーバに送信して、応答を受け取る。
音声の記録はすでに議論の的になっている。Amazonは、殺人事件に関わるAmazon Echoのデータをめぐる論争で、音声コマンドは米国憲法修正第1条によって保護されると主張していたが、最終的には音声データを裁判に提出した。
そこで、政府とハッカーの両方から個人のプライバシーを保護するという点において、三大スマートスピーカがどんなスタンスをとっているのか見てみることにしよう。
AppleのHomePod、Google Home、Amazon Echoはいずれも、各社のサーバに送信する音声記録を暗号化する。ただし、データを保護する度合いは一様ではない。
Appleが先週開催した「Worldwide Developers Conference」で、マーケティング責任者のPhilip Schiller氏は、HomePodのデータは暗号化されると述べたが、詳細までは語らなかった。HomePodの開発に詳しい筋によると、Siriや「HomeKit」と同レベルの暗号化だという。
3月に発表された「iOS」セキュリティガイドでは、Siriとサーバとの通信にはHTTPSが利用され、「iPhone」と他のデバイスとの間でデータが暗号化されると解説されている。
Google Homeのデータは、送信時と保存時に暗号化される。つまり、Googleのサーバに向かう時に保護され、保存される時にも改めて暗号化されるということだ。
Amazon Echoの場合も、「Alexa」との会話はデバイスから同社のクラウドサーバへの送信時と保存時に暗号化され、「安全に保存」されると広報担当者が電子メールで説明した。
したがって、データがApple、Google、Amazonのサーバに送信されている間は、盗み出されたり盗聴されたりする可能性は低いようだ。しかし、政府の要請から個人を保護するとなると、話が変わってくる。
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