殺人事件の裁判でAmazonがデータを提出できたのは、すべての記録が(暗号化されてはいても)個人に紐付けられていたからだ。
「記録は(Amazon Web Servicesの)クラウドに安全に保存され、サービスをユーザーごとにパーソナライズできるように、アカウントに紐付けられている」。Amazonの広報担当者は電子メールでこのように説明した。
同様にGoogle Homeでも、検索履歴や位置情報の履歴、音声コマンドなど、アプリから収集したデータはすべて、Googleアカウントに紐付けられる。
Google Homeの場合、対応するアカウントが1台ごとに必要だが、ダミーのアカウントを作ることはでき、個人情報をすべて入力する必要はない。これと違ってAmazon Echoでは、クレジットカード情報と出荷先住所を登録したAmazonアカウントが必要だ。
政府当局がGoogleやAmazonに音声アシスタントのデータを要求した場合、両社ともユーザーに対応するアカウントを特定できることになる。
HomePodの場合は事情が違う。Appleのスピーカから送信されるデータは匿名化され、名前や「Apple ID」がコマンドに紐付けられることはない。これはSiriの仕組みと同じで、ランダムなIDがデバイス内で利用されるだけだ。
したがって、特定のユーザーに関するSiriのデータを当局から要求されても、Appleは無数のランダムな番号からその情報を引き出すことはできない。Appleが毎年、国家安全保障に関する要請を大量に受けている状況を考えれば、これは幸いと言えるだろう。
AmazonとGoogleはどちらも、Amazon EchoとGoogle Homeのデータについて要請があった場合の対応をポリシーとして定めている。Amazonは「有効かつ拘束力のある法的要求」でない限りデータを提出しないとしており、Googleは年間4万5550件以上の要求を絞り込むべく戦っている。そして両社とも、記録はユーザーが手動で削除しようとするまで保存される。
Siriの場合、音声記録はAppleの音声認識サーバに6カ月間保存され、ユーザー認識の向上に利用される。6カ月が過ぎると記録は自動的に削除され、別の(IDを持たない)コピーが最長2年間にわたりSiriの品質向上に利用される。
IDが匿名化されるため、データを引き渡さないという点においては、HomePodの方が圧倒的に説得力がある。渡そうにも特定できないのだから。
音声データをめぐる「かくれんぼ」では、今のところAppleに分があるようだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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