洗濯物折りたたみ機「Landroid」が誕生するまで--社長が明かす紆余曲折の12年 - (page 2)

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ゴルフをしない阪根氏が超高級ゴルフクラブのシャフトを作った理由

 世界中から天才科学者が集まってくる夢の研究所を、世界中に7つぐらい作りたい──。自身は物理・科学分野での博士号を持つ阪根氏が、研究者の楽園をイメージして名付けた会社がseven dreamers laboratoriesだ。この会社で最初に世の中に出した製品は、実は完全オーダーメイドで生産される超高級ゴルフクラブのシャフト部分だった。

 実は、ゴルフをまったくプレイしないという阪根氏が、なぜゴルフクラブのシャフトを作ろうと思ったか、という話から始めることにしたい。

 根っからの研究者であった阪根氏は、高機能複合素材を得意とするI.S.T.という技術企業を継がせたいと考える父の元を離れて渡米。米国の大学で研究者となることを目指していた。しかし米大学で教授になるという夢は難しいと判断し、帰国してからはI.S.T.を引き継いで新たな事業開発を開始した。

 こうした中で開発した医療機器向けの特殊部品が、年間数億円の純益を稼ぎ出すようになった。これが阪根氏が目指す”夢の研究所”を生み出すための資金源となった。I.S.T.を含む坂根産業の事業範囲は広く、彼の父親は”外部資本は一切入れない独立経営”を徹底することを望んだが、阪根氏は研究開発の後、製品事業を立ち上げる時に必要な資金を得るには外部資本は不可欠と考えた。

びき・無呼吸解消の鼻腔挿入デバイス「nastent(ナステント)」
びき・無呼吸解消の鼻腔挿入デバイス「nastent(ナステント)」

 seven dreamers laboratoriesは、こうしてI.S.T.の一部を阪根氏が引き継ぐ形で生まれた会社である。阪根氏が開発した技術・部品はつい2年程前までコンスタントに稼ぎを出し続け、阪根氏はその資金を新規事業の開発に惜しげもなく投入していった。

 最初に実現する夢として掲げた商品は睡眠時無呼吸症候群を改善する商品として開発された「ナステント」とアルツハイマー病の診断薬である。ナステントはご存知の方も多いだろうが、チューブを鼻から喉の奥まで通し、固定することで気道を確保する器具だ。

 B2B向けの事業は安定した収益をもたらすが、大成功を収めるにはB2C、消費者に直接商品を届けるジャンルで成功する必要がある。そう考え、B2B向けのアルツハイマー診断薬を開発するかたわら、ナステントの開発を続けていたseven dreamers laboratoriesが、なぜオーダーメイドのゴルフクラブ用カーボンシャフトを起業して最初の製品として開発したのだろうか?

「おそろしく売れなかった」--高級名刺ケースから学んだこと

 I.S.T.時代の2008年、阪根氏は日本ではナンバーワンのカーボン素材会社「スーパーレジン」を買収した。筆者も極めて樹脂比率が低いカーボンFRP素材を生み出す起業として名前を知っていた(超高級オーディオ用インシュレータなどの生産委託も受けている)同社は、レーシングカーの部品や車体モノコックなども作れる大型オートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)を、独立系企業では最も多く持つ企業だった。

 阪根氏はナステントの発売タイミングを2014年と見積もり、スーパーレジンが持つ最先端のカーボンFRP素材を用いて名刺入れを開発。これを2万5000円で一般発売して、コンシューマ向け高級品ビジネスのケーススタディにしようと考えた。

 ところが「おそろしく売れなかった。まったく市場から反応がない。発売後、6カ月で売れたのは、たったの1個」と阪根氏は振り返る。「もう中小企業”あるある”で、良い製品なら売れると思ってしまう。でも魅力を伝える手段も、品質を主張する手段も何もないわれわれの製品は、コンシューマに知ってもらうことすらかなわない。このときに学んだことは大きい」と話す。

 こうした経験があった阪根氏は、まずはコンシューマでのブランド力を付けるための、あるいは自分たちの会社に興味を持ってもらうきっかけとなる商品をモルモット的に作ろう。そのために持っている技術力をフル動員した商品を作ろう。そう考えて生まれたのがカーボンシャフトだったのだ。

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