VR/ARでの覇権を目指すグーグルの3つの戦略 - (page 2)

Scott Stein (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2017年06月07日 07時30分
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もう1つのアプローチ、AR技術「Tango」対応スマートフォン

 Googleのもう1つの技術が、スマートフォン上で印象的なAR効果を作り出せる高度なカメラ技術、Tangoだ(ARではなく「複合現実」と呼びたい向きもあるだろうが、ここでは立ち入らないことにする)。Tangoは部屋全体を3Dスキャンし、屋内マッピングツールとして機能するほか、空間を測定し、家具などの仮想アイテムをあたかも本物のように配置することもできる。

 楽しみな技術だが、Tangoカメラを搭載するスマートフォンは2つしか作られていない。すでに発売されている大型スマートフォン「Lenovo Phab 2 Pro」と、2017年夏に発売予定のASUS ZenFone ARだ。

 前述したように、ZenFone ARはTangoとDaydream両方の技術に対応しており、Daydream Viewでも使用できるし、高度なARアプリも動作する。だが、GoogleのTangoとDaydream互換アプリライブラリには、まだかなり大きな違いがあり、TangoでもVRモードでも動作するアプリは、今のところ「Tango Constructor」という3Dスキャンアプリしかない。Daydream VRの場合はヘッドセットにスマートフォンをセットする必要があるが、Tangoはヘッドセットがなくても動作する。

 実際、Googleの「Expeditions」は、自撮り棒に取り付けたスマートフォンで太陽系や銅像などを仮想的に体験できるクールな教育向けARアプリだが、それが動くのはTango搭載のスマートフォンだけだ。

スマホ不要のスタンドアロン型VRヘッドセットが間もなく登場

 これまでコンシューマ向けVR製品といえば、PCやゲーム機に接続するハイエンドモデル(「HTC Vive」「Oculus Rift」「PlayStation VR」や、Microsoftが予定している「Windows 10」対応ヘッドセットなど)か、「目の前にスマートフォンをセット」するアクセサリタイプ(Daydream View、サムスンのGear VRなど)ばかりだった。だが、Daydreamプラットフォームの別シリーズとして、スマートフォン不要のヘッドセットが間もなく登場する見込みだ。

 スタンドアロン型Daydreamの第1弾はHTCとLenovoが製造中で、QualcommのCPUを搭載する。完全に自己完結型のヘッドセットであり、スマートフォンを必要とせず、Daydream VRアプリが動く。「WorldSense」カメラも内蔵され、室内のトラッキングや移動が可能になる。MicrosoftがWindows PC向けに予定している低価格のVRヘッドセットと似ているが、Googleのモデルはこれと違って、コンピュータと物理的に接続する必要がない。

 こうしたヘッドセットの価格は、どのくらいになるのだろうか。バッテリの持ち時間はどうだろう。簡単に使えて楽しめるものになるのか。まだ答えはわからないが、Googleとしては、2016年から売られているスマートフォンセット方式のDaydream View VRヘッドセットよりも進んだモデルと位置付けたい意向だ。期待できそうだが、新たにヘッドセットを購入するとなれば、当然ながら、手持ちのスマートフォンに取り付けるシンプルなDaydreamアクセサリを買うより高くつくはずだ。この新しい選択肢は、価格に見合うものだろうか。


HTCはスタンドアロン型VRヘッドセットをVIVEシリーズとして開発中。
提供:James Martin/CNET

VRとARがスマートフォンの次なる標準機能に

 スマートフォン向けのDaydream、Tango、スタンドアロン型Daydream。それから、YouTubeの360度動画もあった。どんなブラウザでも動く360度の動画だが、これも一種のVR体験と言えないこともない。

 選択肢はたくさんある。多すぎると言ってもいい。だが、こうなると、古き良きCardboardに立ち返りたくなる。

 なにしろ、Cardboardはまだ使えるからだ。不格好で基本的な機能しかないが、「iPhone」でも使える。子どもにVRを体験させたい人や、専用のハードウェアにお金を出したくないという人には、今でもCardboardがベストだ。どんなスマートフォンでも使える。

 Cardboardは後付けのような感じがする。だが筆者にとっては、Googleが短期間でVRへのアプローチを推し進め、多様化させたことを示すものだ。Daydream ViewとTangoは、万人向けのVRとARではない。対応ハードウェアを揃えている人向けのVRとARだ。

 だが、それも今だけだろう。1、2年のうちに、ハイエンド(場合によってはミッドレンジまで)のAndroidスマートフォンはDaydreamとTangoに標準で対応するようになると見ていい。数年もすれば、メインストリームのスマートフォンの大半がVRとARに対応しているはずだ。

 あるいは、スタンドアロン型のVRヘッドセットが十分に手ごろな価格になって普及し、それが問題でなくなるかもしれない。

 Googleは、あらゆる前線を同時に攻めて、今ここで勝ちを取りにいこうとしているようだ。この時期にちょうどスマートフォンを購入しようとしている人には、難しい選択になるだろう。だが、Googleにとってはそれもウィンウィンであり、Microsoft、Facebook、AppleとのAR/VR競争が激化する中、あらゆる領域で自社の位置付けを固めようとしているとも考えられる。

 3つのカテゴリに別れた製品で3つの異なるアプローチをとるというのは、ユーザーに試してもらうのが、かつての素朴なCardboardのときより格段に難しくなる。筆者はそれが少し心配だ。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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