三菱電機、ROE10%以上の経営指標は4年連続達成--IoT関連で新事業創出へ - (page 2)

IoTを活用した事業領域で新たな成長牽引事業を作りたい

 さらに、柵山氏は、「今後、9つめ、10つめの成長牽引事業を作り出したい。とくに、IoTを活用した事業領域において、事業シナジーによる新たな成長ドライバーを生みだしたいと考えている。たとえば、考えられるものとして、ホームエネルギーマネジメントがある。機器だけでなく、制御における技術が進んでいる。顧客が得られる価値と、我々がかける費用の関係が明確になれば、牽引ドライバーになってくるだろう」などと述べた。

 また、「収益率を高めていくのに加えて、ロスコストをゼロにしていくことで、実力として営業利益率7%を超えられると考えている。残りの1%の上乗せを、事業シナジーによって、さらに高い付加価値を提供していく」などと述べた。

 一方、柵山氏は、三菱電機の競争力を発揮するエリアとして、「エッジ領域」をあげ、今後、この領域への取り組みを強化する姿勢を示した。

 「これまでは、パワーデバイスやモータなど、強い機器群を支えるキーパーツと、通信、情報処理、暗号化などをベースにした制御技術によるIoTの活用に向けた技術資産により、技術シナジーや事業シナジーを創出してきた。ビルであれば、エスカレータやエレベータ、空調、電源システム、セキュリティ、照明といったそれぞれの機器として導入し、これらをIoTとして接続し、制御することで価値を提供してきた。だが、エッジ領域であるビルの中に、AIを置き、エッジ領域でリアルタイムに処理し、迅速に対応することで、新たな価値を提供できるようになる。三菱電機では、推論処理のネットワーク構造と、計算方法を効率化することで、AIをコンパクト化。サーバなどで行っていた学習処理を、エッジの組み込み機器で実現する。駅構内に設置したカメラが、エッジで映像を自動解析することで、車いすの人がやってきたことや、危険物を持った人が入ってきたことを、駅員にリアルタイムに知らせるといったことが可能になる」と語った。

 また、白物家電の中には、冷蔵庫の霜取りなどを効率的にできるように制御したり、エコキュートでは効率的に湯沸かしができるように運転するために「緩やかなAI」を採用していることも紹介した。

 なお、白物家電事業については「過去に選択をしてきた経緯があり、残っているものは、収益事業になっている。白物家電事業はホームエネルギーマネジメントにおいては、大きなキーデバイスになってくる。整理対象の事業にはならない」と発言。一方で、「中長期的な成長目標を描けないもの、他の事業とシナジーが薄い事業に関しては撤退の条件になっており、検討を続けているものもある」とした。

 さらに、同社が取り組む働き方改革についても説明。「社長直轄の組織として、これに取り組んでいる。働き方改革は、トップダウンとボトムアップの両輪で進めなくてはならない。業務のスリム化ひとつをとっても、現場主導で無駄な作業を減らす取り組みだけでなく、定型業務の自動化をIT投資によって実行するといったトップダウンでの取り組みを組み合わせる必要がある」とした。

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