三菱電機、ROE10%以上の経営指標は4年連続達成--IoT関連で新事業創出へ

強い事業同士の組み合わせで新規事業を創造する

三菱電機執行役社長の柵山正樹氏
三菱電機役執行役社長の柵山正樹氏

 三菱電機は5月22日、中期経営計画の進捗について説明。三菱電機執行役社長の柵山正樹氏は、「環境問題や資源、エネルギー問題といった社会的課題の解決にフォーカスし、豊かな社会の実現に貢献するグローバル環境先進企業を目指す」と、基本姿勢を示す一方で、「これまでの機器領域、ITシステム領域に加えて、エッジ領域における競争力を強化していく。独自技術をもとに、AIをコンパクト化。エッジ領域でディープラーニングを行うことで、データの一次処理を実行。機器領域に向けたリアルタイムでのデータのフィードバックおよびセキュリティの確保を実現する」と語り、エッジ領域での事業強化を推進する考えを示した。

 同社は、2014年度に中期経営計画を策定。創業100周年を迎える2020年度までに達成すべき成長目標として、「連結売上高5兆円以上」、「営業利益率8%以上」を設定。さらに、継続的に達成すべき経営指標として「ROE10%以上」、「借入金比率15%以下」を掲げている。

2020年度までに達成すべき成長目標
2020年度までに達成すべき成長目標

 2017年3月期の連結業績は、売上高が前年比3.5%減の4兆2386億円、営業利益は10.3%減の2701億円。売上高は3年連続での過去最高更新を逃したが、三菱電機の柵山氏は、「売上高、営業利益は、ともに過去3番目の実績。円高が減収減益の要因であり、為替の影響を除けば増収増益」と実質的には過去最高を達成していることを示してみせる。

業績見通し
業績見通し

 また、2017年3月期末のROEは10.9%、借入金比率は8.4%となっており、「4年連続で目標を達成している」とした。

 柵山氏は、「2016年度は足踏みをしたために、2020年度の目標達成に向けたハードルはあがっているが、引き続き、目標達成に向けて取り組む。M&Aは含まず、オーガニックでの達成を目指す」とした。

 2018年3月期の連結業績見通しは、売上高が前年比1.4%増の4兆3000億円、営業利益は3.7%増の2800億円を目指す。

 柵山氏は、「自らの強みを発揮できる分野で、事業展開していくことが基本姿勢である」と前置きし、「従来は、技術と技術の組み合わせによる技術シナジーにより、強い事業を生み出してきたが、今後は、強い事業をより強くするとともに、強い事業と強い事業を組み合わせた事業シナジーによって、新たな事業の創出にも取り組んでいく。三菱電機は、家庭電器から宇宙、人工衛星まで幅広い事業を持っており、これを組み合わせることで新たな価値を生み出す」とした。

価値創出に通じた成長の実現
価値創出に通じた成長の実現

 「強い事業をより強く」という点では、電力システム、交通システム、ビルシステム、空調冷熱システム、FAシステム、自動車機器、宇宙システム、パワーデバイスの8つの事業を、成長を牽引する事業群として位置づけている。

 電力システムでは、再生可能エネルギー拡大時の電力系統安定化や電力システム改革を支えるインフラ構築の貢献を進め、交通システムでは、パワーエレクトロニクスによる鉄道車両のエネルギー効率とブレーキ時の回生電力量の向上、駅舎全体の省エネ化、無線技術を応用した列車制御(CBTC)による安全、効率的な列車運行に取り組む。

 ビルシステムでは、高い製品力とフィールド技術力により、新設から保守、リニューアルまでのトータルサポートを展開。ビル全体の省エネと運用コストの低減を実現するという。空調冷熱システムでは、高性能および高効率デバイス、高度な制御技術によって地域固有の省エネニーズに対応。FAシステムでは、FA-IT統合ソリューション「e-F@ctory」の進化により最適なモノづくりを提案。自動車機器では、燃費改善や環境負荷低減、運転時の快適性向上のほか、自動運転の実現にも貢献するという。

 宇宙システムでは、地球温暖化防止や気象現象、地球環境の監視などをする観測衛星の開発などに寄与。パワーデバイスでは、低損失のSiC搭載デバイスの開発、供給により、低消費電力の実現を目指すという。

強い事業をより強く、成長を牽引する事業群
強い事業をより強く、成長を牽引する事業群

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