米ZDNetにとって、4月17日は特別な日となった。Twitterアカウント@ZDNetのフォロワー数が40万に達したのだ。その記念すべき瞬間に、筆者はシニアエディターと短いメッセージを交わした。いろいろと仕事を抱えながらもこのアカウントを運営している編集者だ。
「偽アカウントも多い」と筆者が言うと、「ボットかな?」と返ってきた。そのとおりだ。
でたらめなユーザー名のアカウントが延々と表示されており、どれもプロフィール画像は空だ(つい最近までは評判の悪い「たまご」の画像がデフォルトだった)。
何かおかしい。なぜこんなアカウントにフォローされているのかと疑問に思い、もう少し調べてみたところ、米ZDNetだけの話ではなかった。こうした偽フォロワーは、The Verge、Ars Technica、Wiredといったサイトのフォロワー数も押し上げていたのだ。姉妹サイトの米CNETも、画像やプロフィールが空の新しいアカウントであふれていた。
その理由は編集部の誰にもわからなかった。
同マイクロブログサイトの使用に伴う職業上のリスクと言っていいだろう。Twitterユーザーなら誰でも(読者の皆さんも)、少なからず偽アカウントにフォローされているものだ。見かけでは気付かないかもしれないが、ブロンド美女や、場合によってはプロパガンダにリンクしているスパムを投稿し続けるアカウントが、確かに存在する。
しかも、状況は次第に悪くなっている。にもかかわらず、Twitterは何も対策をとろうとしていないようだ。
Twitterからは一言もないので(4月中旬にコメントを求めたが広報担当者からの回答はなかった)、独自に調査することにした。こうしたボット数十件を1週間にわたり注意深く監視したところ、いずれも同じパターンのユーザー名(ランダムな名前といくつかの数字)を使い、1時間ほどの間隔で作成されたものであることがわかった。手口はどうかといえば、稚拙な出会い系サイトに誘導して登録料を要求する程度のもののようだ。もちろん、実際に登録する人がいたとしても、出会いのチャンスなどないも同然なのだが。
さらに調べを進めると、ルーマニアのスパマーLaurentiu Ciocoiu(おそらくは偽名だろう)が最近のスパムボット急増に部分的に関与していることも判明した。
Ciocoiuは2017年に入ってから最近の活動を開始し、膨大な数の偽Twitterアカウントで複雑なネットワークを構築している。パターンはほぼ毎回同じだ。Twitterアカウントを作るとき最初に勧められる有名なニュースサイトや著名人など、正規のアカウント数十件をフォローし、続いて別の偽アカウントもフォローする。
その後に、偽アカウントはツイートを1つ投稿する。ヌード写真が見られるとうたうページへのリンクだ。
運悪くクリックしてしまうと、そのページからランダムにサードパーティーのウェブサイトに転送される(これらのウェブサイトの所有者もCiocoiuで、4月半ばの週末にコメントを求めたが回答は得られなかった)。クリック数やサイトへの登録に応じてCiocoiuが報酬を得る仕組みで、違法性や不正な面が目立つ。
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