「メディアやブランドに限らず、いろいろな企業が、エンゲージメントを強化したいときによくやっている。近所の食料品店でさえ、偽フォロワーが1万くらい付いているかもしれない」。Noriega氏は冗談めかしてこう語った。
ボットと偽フォロワーは違う目的で運用されているが、Twitterで思想の誘導に利用される道筋は同じのようだ。スパムリンクの場合もあれば、ときにはハッシュタグを付けて、特定の政治傾向をもつ政治家を後押しする。
意地の悪い見方かもしれないが、Twitterがスパムボット問題への対処に消極的であるという推測に、根拠がないわけではない。同社の価値は公称のユーザー数にかかっており、世間に認知されているユーザーベースが大幅に減少するような事態を避けたいからではないのか。
Twitterだけに非があるわけではないが、いまだに事実から目をそらして素知らぬ顔をしている1社には違いない。
Facebookは先ごろ、「大規模な偽アカウント詐欺」と指摘された膨大な数のアカウントを一掃した。これにより、USA TodayのFacebookページからは約600万の「いいね」が消えたという。Twitterと同じく、Facebookの価値もアクティブユーザー数によって決まる。ここ何カ月かは、動画の再生回数を不正に水増しして広告主に報告していたとして非難されていた。
Twitterは数年前に、スパムボット対策システムを開発中と報じられたが、その構想は頓挫しており、理由は明らかにされていない。
一部の専門家によると、ネットワークを毎秒スキャンして不正なツイートや偽アカウントを検出するという対策は実現可能であり、それほど難しくないという。だが、ボットの善悪を判断する厳格なルールがなければ、正規のアカウントを停止してしまう可能性もゼロではないと、インターネットアーティストでボット専門家のDarius Kazemi氏は指摘する。
「ボットをさらに人間に似せて検出を避けるために、有名ブランドや著名人をフォローするだろう。いろいろな有名人に向かって、ひたすら『愛してる』とだけツイートするアカウントを想像してみてほしい。そんなアカウントはボットかもしれないし、ティーンエイジャーかもしれない」(Kazemi氏)
大勢のティーンエイジャーが米ZDNetの記事を読んで、毎日熱狂的に「愛してる」とツイートしてくれるのは、歓迎しないわけではない。だが、厳然たる事実として、Twitterは自意識と虚構が飛び交い誤解を招く世界になってしまった。フォロワー数はすっかり不正確になり、リツイートとお気に入りの数が膨れ上がっているので、通知は意味がなくなっている。Twitter側にこれを正す意思がなく、容易な解決方法もないとしたら、これは時間がたつほど悪化するタイプの問題だ。
これについてヒントでもくれるボットがあればいいのだが。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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