NTTドコモは4月27日、2016年度の通期決算を発表した。増収増益の好調な決算で中期目標の1年前倒しを実現し、同時に次の4年間に向けた中期戦略「beyond宣言」を発表。新たな方針を強く打ち出したことに加え、新料金プランも発表された。
同社の通期の業績は、営業収益が前年度比1.3%増の4兆5846億円、営業利益が前年度比20.7%増の9447億円となった。NTTドコモ代表取締役社長の吉澤和弘氏によると、利益に関しては2015年度が「ずっとくりこし」などの影響、2016年度は償却方法の変更や「パケットくりこし」の影響など、いくつかの特殊要因があることから、実質的な営業利益は前年度比7.7%増の8627億円になるとしているが、それらの影響を受けてもなお、好調な業績を記録していることが分かる。
好調の要因は、通信事業の回復とスマートライフ領域の伸び、そしてコスト効率化など、同社が注力して進めた施策が好調に推移したこと。通信事業に関しては、携帯電話の契約数が前年度比6%増の7488億に達し、解約率も0.59%に下がっているが、伸びを大きくけん引しているのは光ブロードバンドサービスの「ドコモ光」だ。実際、ドコモ光の契約数は前年度比2.2倍の340万、4月19日には350万を突破したとのことで、契約の好調な獲得が進んでいることが分かる。
それにともない、ARPU(1ユーザーあたりの月間売上高)も前年度比290円増の4550円にアップしている。ただ吉澤氏によると、パケットARPUは「パケットくりこし」の影響によって140円伸びているとのこと。そのため、ドコモ光とパケットくりこしの影響を除いたARPUではまだ、業績を大きく落とす前の2013年度の水準(4210円)をやや下回っているとのことだ。
またコスト効率化に関しては、今年度の目標である1100億円の削減を達成。一方でスマートライフ領域の利益は、前年度比51%増の1199億円と、年間目標の1200億円にはやや届いていないという。ただし吉澤氏によると、こちらも減損損失の影響を除くと「計画よりちょっと上回ったくらい」とのことで、おおむね目標を達成できたとしている。
ちなみにスマートライフ領域に関連しては、2月からサービスを開始したスポーツ動画配信サービス「DAZN for docomo」の契約数が36万契約に達し、直近では45万を超えたことも明らかにされ、ユーザー獲得が好調に進んでいる様子がうかがえる。決済サービスに関しても、「dカード」の契約数が1767万、「dカードGOLD」の契約数も4月24日時点で約250万に達したとしており、こちらも好調なようだ。
一連の好調な業績から吉澤氏は、2014年度に掲げた中期目標を1年前倒しで実現するという2016年度の目標を達成できたことを明らかにした。そこで来期の業績は、営業収益が1654億円増の4兆7500億円、営業利益が153億円増の9600億円と予想。顧客基盤を強化するため数百億円規模の顧客還元を実施するとした。その第1弾として300億円を費やし、新料金プラン「シンプルプラン」「ウルトラシェアパック30」の新設、そして「ドコモポイント」の「dポイント」への移行を実施するとしている。
シンプルプランは、IP電話などを利用し通話回数が少ない人に向けたプランで、無料通話は家族間のみだが、月額料金が980円で提供されるもの。そしてウルトラシェアパック30は、「シェアパック15」(月額1万1300円)に1000円をプラスすることで、30Gバイト分のデータ通信容量が利用できるというもの。いずれも5月24日より提供されるという。
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