ドコモが好調な通期決算--中期戦略で“6つの宣言” - (page 2)

吉澤氏の体制による新たな中期戦略「beyond宣言」

　さらに吉澤氏は決算説明会の場で、2017年度から始まる新たな中期戦略として「beyond宣言」を策定したことを明らかにした。「beyond」には、2020年を見据え、顧客に期待を超えた驚きや感動を提供し、ビジネスパートナーと新しい価値創造を目指すという意味合いが込められている。そして顧客とパートナー企業に対し3つずつ、合計6つの宣言をすることで「自分達が変化し、今までにない挑戦を続けて未来を作っていく」と、吉澤氏は戦略の狙いを話す。

新たな中期戦略「beyond宣言」は、顧客とパートナー企業に向けた6つの宣言から成り立っている

　顧客に向けた宣言の1つは、料金プランやサービス、ポイントなどを進化させることで、お得さや便利さを実感できる「マーケットリーダー」。その実現のためには、先に触れた新しい料金プランに加え、dポイントの強化も挙げられている。吉澤氏は、2020年までにポイント加盟店300社以上を達成し、日本最大級のポイント発行額を目指すと意気込みを見せた。

お得さや利便性の実現のため、dポイントの加盟店を300社以上に拡大し、日本最大級のポイント発行額を実現する方針を打ち出した

　2つ目の宣言は、次世代の通信方式「5G」を最新技術に取り入れ、生活に楽しさや驚きを与える「スタイル革新」。「iコンシェル」で培ったAIを活用した音声エージェントや、VRやARなど話題の技術を活用した新しいエンタテインメント体験を提供するなどの取り組みを進めていくという。そして3つ目の宣言は「安心快適サポート」で、AIを活用してスマートフォンに問い合わせればすぐ問題解決できるなど、技術を活用してショップでの待ち時間の長さを解消し、顧客満足度を高めるとしている。

「スタイル改革」の一環として、NTTドコモ25周年を記念した新たなエンタテインメント体験を提供。Mr.Childrenや安室奈美恵さんらと新感覚のタイアップを実施するという

　パートナー企業との価値協創に向けた宣言の1つは、高速・大容量、低遅延、多接続といった5Gの特性を生かしてさまざまな産業を発展させる「産業創出」。5月より展開する、パートナー企業との5Gに関する取り組みを体験できる「5Gトライアルサイト」を皮切りとして、5Gによる産業創出の取り組みを積極的にアピールしていくとしている。

新たな産業創出に向けては、複数のパートナー企業と5Gを活用した取り組みを体験できる「5Gトライアルサイト」を5月に開幕することを明らかにしている

　2つ目の宣言は「ソリューション協創」で、パートナー企業と複数にまたがる領域で連携し、日本の社会課題を解決する取り組みを進めていくという。そして3つ目の宣言は「パートナー商流拡大」で、ドコモのアセットを活用してパートナー企業の成長そのものを拡大することにも、力を入れていくとしている。

　ドコモでは今後、これら6つの宣言を実行するべく体制を強化し、事業構造改革を推し進めていくとのこと。中でも今後は5Gや光などのブロードバンドサービス利用が増えてくることから、「ブロードバンドに付加価値を融合させた新しい価値を提供し、事業スタイルを大きく変えて成長を続ける事業構造にしていきたい」（吉澤氏）と話した。

今後伸びが期待される5Gや光などに、付加価値を融合させ新たな価値をすることにより、事業構造を変革して成長につなげる狙いがあるという