「Firefox」ブラウザの最新版「Firefox 53.0」が米国時間4月19日にリリースされた。新バージョンでは、「Windows」搭載コンピュータを利用する大半のユーザーでブラウザがクラッシュする確率を10%減少させたという。この機能強化は、Firefoxの機能と速度の向上を目指して2016年に開始された「Quantum」プロジェクトによる、初めての大きな成果と言える。
安定性を高めるため、Windows版のFirefox 53.0では、ウェブサイトの要素を画面に描画する役割を果たすコンポジタと呼ばれるソフトウェアが独立して動作する。この要素を独立した演算プロセスとしたことで、Firefoxがコンピュータのグラフィックスチップを利用する際にトラブルになりやすいポイントを削減することができるという。
この恩恵を受けるのは、Windowsユーザーのおよそ70%とみられている。具体的には、Intel、NVIDIA、Advanced Micro Devices(AMD)のグラフィックスハードウェアを搭載したマシンで、アップデート済みの「Windows 7」「Windows 8」「Windows 10」を使っているユーザーだ。
なお、Appleの「macOS」が動作している「Mac」では、コンポジット処理が安定しているため、独立したプロセスは必要ない。
また、もう1つの変更点として、Firefox 53に新しいデザインが追加された。これにより、「Australis」プロジェクトの一環として2013年に採用された丸みのあるタブに代わって、2つの新しいテーマが導入された。新テーマではタブがより小さな長方形になり、画面に占める面積が小さくなっている。見た目はMicrosoftの「Edge」やAppleの「Safari」といったブラウザのタブに近い感じだ。このコンパクトなテーマは明るめのグレーと夜間の使用に適した暗めのグレーの2色が用意され、Firefoxの「アドオン」設定画面の「テーマ」セクションから選択できる。ただし、デフォルトのテーマは従来のままだ。
新しいテーマの追加は大した話ではないように思えるが、ブラウザのインターフェースが変わるとユーザーが混乱する可能性がある。しかし、ブラウザのコンテンツ表示領域を少しでも拡大することも重要だ。
さらにこの新しいFirefoxでは、現在位置の取得やウェブカメラの使用など、プライバシーに関わる機能の利用をウェブサイトごとに許可または拒否する機能が改良された。
最後に、Firefox 53では「Windows XP」と「Windows Vista」のサポートが打ち切られた。これらの古いオペレーティングシステムに関しては、Microsoftによるバグの修正やセキュリティの更新も行なわれていない。それでもXPやVistaを利用しているごく少数のユーザーについては、移行ペースの遅い法人向け延長サポート版(ESR)のFirefoxが必要になる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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