Facebookは、世界でどのような役割を果たしていきたいのか、という内省的な問題を抱える一方で、外部からの攻撃にもさらされている。Snapchatを提供するSnapが、Facebookの将来を脅かす存在になっている。なぜなら、Snapは非常に多くのティーンエージャーや若者に愛されているからだ。FacebookはSnapchatで最も人気の高い機能、つまり「ストーリー」を模倣することでSnapchatの魅力を奪おうとした。その後も、Facebookは何度も何度も模倣を繰り返している。
Snapは3月に新規株式公開(IPO)を果たし、4月18日には、「World Lenses」を発表した。これは、スマートフォンの背面カメラを使って、特殊効果や3D体験を追加できる機能だ。
Snapchatがスマートフォンカメラの可能性を切り開いた先駆者であることは、Zuckerberg氏も理解している。同氏はFacebookのライバルの功績を間接的に認めた。
「われわれは、自社の全アプリについてカメラ機能を取り入れるのが少し遅かったが、今後、これをどんどん推し進めていくことができると私は確信している」(同氏)
ただし、これは単にSnapとの競争だけに留まる問題ではないと、GartnerのアナリストであるBrian Blau氏は指摘する。テクノロジは進化し、ついに高度な視覚効果を実現できる段階まで到達したというのだ。
Blau氏は、「アルゴリズムが向上し、処理性能も向上したため、コンピュータビジョンを効果的に使用できるようになった。Facebookがその分野に参入するのは、当然の展開だ」と述べ、「人間の最も重要な感覚は視覚だということをFacebookが認識しているのは、極めて明白である」と言い添えた。
Facebookが社会で果たす役割について、Zuckerberg氏は誰よりも真剣に考えている。同氏は2月、6000ワード近くにおよぶ書簡を公開し、Facebookの今日の使命と世界における同サイトの進化する役割について、詳しく説明した。取り上げたテーマには、テロリストの募集を人工知能(AI)を使って阻止することや、Facebookを市民の社会貢献の場にすることが含まれていた。
今のところ、それに対する同社の答えは、人々が自分の話や写真、動画を共有する方法をより多く考え出す、ということのようだ。
同社は仮想現実(VR)用のソーシャルアプリも開発している。ユーザーの顔のすぐ近くに画面を表示させて、コンピュータの生成した世界が現実の世界であると脳に信じ込ませるヘッドセットのことだ。同社の開発した新アプリ「Facebook Spaces」は、VRヘッドセットを装着したユーザーがほかのユーザーとチャットできる機能を提供する。
ヘッドセットを装着したユーザーは、Facebook Spaces内で、友達とデジタルのテーブルを囲んで話をしたり、写真を共有したりできるほか、スマートフォンを使って仮想世界を覗き込んでいるユーザーとのビデオチャットに参加することもできる。ユーザーが自分に似せてデザインしカスタマイズできる漫画風のアバターを加えれば、この体験は完全なものになる。
「現在のところは、滑稽な物体が浮かんでいるような状態」だが、こうした状況は今後変わっていく、とBlau氏は言う。「浮かんでいる3Dの物体は、1990年代のジオスペース、つまり初期のウェブサイトのような状態だ」(同氏)
これは総じて、頭に装着するテクノロジへの固定観念を覆そうとするFacebookの取り組みの一環だ。VRが何かを知っている人でも、オタク向けのものと考えているかもしれない。そうした人が想像するのは、大抵、部屋で一人ぼっちのユーザーが大きなヘッドセットの内側で孤立して、仮想世界を探検しているような光景だ。
しかし、テクノロジの本質は友達だとFacebookは考えている。
FacebookのソーシャルVRチーフを務めるRachel Rubin Franklin氏は、壇上で同アプリについて語った際に、「VRは本来、ソーシャルなプラットフォームだ」と述べた。
問題は、友達も仮想世界に飛び込んでくれるかどうか、ということだ。だが、もし飛び込んでくれなくても、あの滑稽なカメラアプリで遊ぶことはできる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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