ランサーズ、“個人間スキルシェア”に本格参入--「WELQ問題」にも言及 - (page 2)

「WELQ問題」を受けて秋好氏が思うこと

 クラウドソーシングサービスのLancersは、現在100万人以上のユーザーが登録しており、23万社から145万件以上の仕事を引き受けているという。仕事の比率としては、エンジニアリング、ウェブ制作、デザイン、ライティングが、それぞれほぼ同数。また、その中でも近年は動画制作のニーズが高まっているという。

 ところでクラウドソーシングと聞くと、記憶に新しいのが2016年後半に起きた「WELQ問題」だ。ディー・エヌ・エー(DeNA)が運営していた医療キュレーションサービス「WELQ」に、信憑性が低く、かつ他者から盗用した情報が盛り込まれた記事が大量に掲載されていたとして、同社が謝罪会見を開く事態となった。この際に、記事制作に使われていたのがランサーズやクラウドワークスなどのクラウドソーシングだった。医療知識がないライターも執筆していたほか、1本あたりの単価も非常に低価格だったとされている。

「品質向上委員会」を設置し、「仕事依頼ガイドライン」も公開
「品質向上委員会」を設置し、「仕事依頼ガイドライン」も公開

 こうした問題を認識したランサーズは、12月5日に「品質向上委員会」を設置。クライアントの仕事依頼ガイドラインを設け、適さない依頼を削除するモニタリング体制も構築した。当初は人力での監視だったが、12月末に高精度でエラーを自動検出するシステムを開発。さらに、日本のほかにアルゼンチンとスコットランドにも拠点を設け、現在は24時間体制で依頼内容を監視しているそうだ。

24時間体制で依頼内容をモニタリング
24時間体制で依頼内容をモニタリング

 ただし、現状の施策で問題を根本的に解決できるとは思っておらず、「企業文化や風土が大事。代表者がそう思うだけでなく、現場で監視をしているサポートチームが同じ目線になれるような企業風土を作っていく。やはり仕組みだけでは100%担保できないので最終的には人だと思う」と秋好氏は話す。

 また、今回は「記事」の盗用などが問題になったが、たとえば「VR」など最先端のコンテンツ制作においても、今後こうした問題に直面する可能性はある。そのため、秋好氏は定期的にガイドラインを見直すとともに、ユーザーも巻き込んだ形で健全化を進めたいと話す。具体的には、規約違反ではないものの、明らかに低単価の案件があればユーザーが通報できるようにしたり、品質向上員会などのリアルの場で、ユーザーも交えて議論したりすることを想定しているという。

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