最後に、今後のVRビジネスの拡大について、杉本氏は改めて米国の動向を紹介し、「米国ではハードウェアの研究開発や特許取得は日本が想像している以上に進んでおり、ヘッドマウントデバイスの可能性を本気で信じている。そこで重要になるのは課金プラットフォームを握るかどうか。GoogleやApple、Amazonなど既存のプラットフォームもあるが、VRビジネスではまだチャンスがある」と提言した。
黎明期にあるVR市場において、グローバルで支配的な地位を獲得したマーケットプレイスはまだ存在していない。ハードウェアやコンテンツだけでなく、それが流通するグローバルなプラットフォームを作ることが、市場拡大の大きな鍵になるという方向性を示した。
今回のイベントでは、大手企業とベンチャー企業が事業紹介などをする5分間ピッチも開かれ、登壇した11社が製品やサービスなどをプレゼンテーションした。
ベンチャー企業では、VRコンテンツ開発を手がける「Zinosoft」、360度VR動画の制作などをする「ネストビジュアル」、3DVRコンテンツの制作やライブ配信、スマホ組み込み型の簡易ビューアー開発などをする「リ・インベンション」、スマートフォン向けモバイルVRコントローラーやゲームコンテンツを開発する「ワンダーリーグ」、VRコンテンツのQA(品質保証)事業を手がける「ASA」、VR動画アプリの制作プラットフォームやVRコンテンツ向けの広告ネットワークを手掛ける「VRize」が、自社の製品・サービスや事例を紹介。
一方、大手企業からは、VRヘッドマウントディスプレイ「VIVE」を開発・販売するHTC日本をはじめ、バンダイナムコスタジオ、朝日新聞メディアラボ、フジテレビ、NTTドコモの5社が自社の取り組みを紹介した。
その中で、NTTドコモ 法人ビジネス戦略部の2020・地方創生営業推進担当である望月謙氏は、「ドコモは1月の四半期決算発表で“5Gが目指す世界”のひとつとしてAR・VRを初めて明記した。2017年度はこの領域に本格的に取り組んでいく。法人部門では受託開発はもちろん、配信・課金・機器レンタルなどBtoBtoCプラットフォームの構築に力を入れていきたい」と説明。
その上で、地方の観光地などにおける360度動画とVRディスプレイを活用した体験型コンテンツの採用事例などを紹介し、VRソリューションをパッケージ化して自治体などが簡単に活用できる仕組みを普及させていく方針を示した。
「これまでは主に360度動画の活用に取り組んできたが、今後はベンチャー企業との協業によってVRコンテンツのリッチ化、高精細化、疑似体験の高度化などを進めていきたい。また、教育・研修、遠隔会議、スポーツ体験などの分野でもVRの可能性を模索できれば」(望月氏)。
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