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VRビジネスをめぐる可能性と課題--ドコモ・ベンチャーズがマッチングイベント

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 NTTドコモ・ベンチャーズは3月29日、VRビジネスに携わる大手企業とベンチャー企業の交流を目的としたマッチングイベントを開催。「未来のVRビジネスを語ろう」と題したパネルディスカッションには、人間工学と先進メディアの研究を専門とする早稲田大学基幹理工学部表現工学科の河合隆史教授、VR・ARソフトウェアの開発、販売を手掛けるBrilliant Service顧問の杉本礼彦氏、電通 デジタルアクセラレーションチームのプロデューサーである金林真氏が登壇し、VRビジネスの可能性と課題について議論した。

左から早稲田大学の河合隆史教授、Brilliant Serviceの杉本礼彦氏、電通の金林真氏
左から早稲田大学の河合隆史教授、Brilliant Serviceの杉本礼彦氏、電通の金林真氏

 同社では、NTTグループとベンチャー企業の協業によってイノベーションの創出を目指す「イノベーションビレッジ」の取り組みを進めているが、今回のイベントは事業会社同士、ベンチャー同士の協業の可能性を模索する目的で開催。これまで医療ヘルスケア、インバウンド、生活IoTなどのテーマでマッチングイベントを開催しており、今回が5回目の開催となる。

VRビジネスをめぐる可能性と課題

 まずは、杉本氏と金林氏がVRビジネスの可能性について自身の見解を語った。

 米国シリコンバレーの動向に詳しい杉本氏は、手間や時間を削減してきたコンピュータの歴史になぞらえて、インターフェースも今後はさらにシンプルになりウェアラブル端末へと移行していくという考えを披露。その根拠として、日本では一時期のブームが去った感が否めないメガネ型端末に対する米国内での注目度は依然として大きい点を紹介し、「シリコンバレーではメガネ型端末をめぐって大きなビジネスが動いている。日本は2周も3周も遅れている」と指摘した。

VRビジネスの可能性について語る金林氏
VRビジネスの可能性について語る金林氏

 一方、VRを使ったメディアビジネスモデルの構築などを手掛けている金林氏は、同社の取り組みとしてネットカフェなどでVRコンテンツが体験できる「VR Theater」を紹介した。有料のVRコンテンツをネットカフェで提供することでコンテンツプロバイダが利益を得られるというスキームを構築した点を挙げて「VRコンテンツを作りたい人という人は非常に多いが、マネタイズに大きな壁がある」とVRビジネスを巡る課題を提言。VRコンテンツを制作・公開したことに対して利益が得られる仕組みを導入することで、VRコンテンツ市場がさらに活性化するとの認識を示した。

 また金林氏は、場所を移動せずにさまざまな空間体験をバーチャルに再現できるVRの特性を活かした取り組みとして、北海道旭川市の病院における取組みを紹介。これは小児科に入院している子ども達に旭山動物園をVR体験できるコンテンツを提供するというもので、「VRは、身体の不自由な方、病気で外出できない方のメンタルケアやストレスの軽減にも可能性があるのでは」とエンターテインメント分野以外での可能性を示した。

 こうした話を受けて河合教授は、「VRにはエンターテインメント以外にも応用の可能性があるが、“VRでなければできないこと”を考える必要があるのではないか」と提言。河合教授自身も、かつて企業との共同研究によって災害や事故を疑似体験できるシステムを実用化しているそうで、リアルでは体験できないが疑似体験することで体験者にとって価値のあるコンテンツがVRに求められることを示唆した。

VRコンテンツの制作・配信にガイドラインは必要か

 一方、VRビジネスを巡る課題について、杉本氏と金林氏はコンテンツの検証、認証を行うガイドラインの整備と検証機関の必要性を示した。

 杉本氏はVRを含むウェアラブル端末には倫理の問題や法規制の壁などがありビジネスの拡大を阻害している点を挙げ、コンピュータエンターテインメントレーティング機構(CERO)のような組織の必要性を提言。また金林氏もデバイスやコンテンツの安全性や「VR酔い」といった身体への影響の有無や程度を検証してレーティングする機関が必要だという認識を示した。

早稲田大学の河合隆史教授
早稲田大学の河合隆史教授

 この点については河合教授も「VRの国際標準化についてはグローバルで議論されており、ガイドラインは早々に出てくるのではないか」と語る。その一方で、コンテンツに一定の基準を設けることによる悪影響も指摘した。

 「ガイドラインでは自分たちが提供したいバリューが正しく評価されなければならない。安全性を追求しすぎるとコンテンツの魅力が損なわれることもある。むしろ基準に縛られないチャレンジも必要ではないか」と河合教授。VRはまだ黎明期であるからこそ、失敗や世の中の反発を恐れずにさまざまなコンテンツを世に問うことで、知見が得られるとの認識を示した。

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