皆さんはAppleが新型「iPad」を発表したことをご存じだろうか。
もし知らなくても、あなたに非はない。Appleは最新の9.7インチタブレットを発表するのにイベントさえ開催しなかったのだから(この新型iPadでは、プロセッサの処理速度とディスプレイの輝度が向上したほか、「Air」の名称が廃止され、価格が70ドル安くなった)。その代わりに、Appleは3月21日夜、ひっそりとプレスリリースを出して新型iPadを発表した。
Appleのワールドワイドマーケティング担当シニアバイスプレジデントを務めるPhil Schiller氏はプレスリリースの中で、「iPadを使うのが初めてのお客様も、旧モデルのアップグレードを検討しているお客様も、美しいRetinaディスプレイとパワフルなA9チップを搭載し、iPadのために設計された130万本以上のアプリケーションとともに、新しいiPadを家庭や学校、職場で愛用していただけることでしょう」と述べている。
新型iPadを楽しみにしているユーザーが実際にそれほど多く存在するのかどうかは、今後明らかになるだろう。
同社がiPadをこれほど控えめに発表したのは、今回が初めてだ。このことは、タブレットの低迷ぶりを浮き彫りにしている。市場調査会社のIDCによると、2016年第4四半期で、タブレットの世界出荷台数は9四半期連続で減少したことになるという。Appleの状況はさらに深刻だ。iPadの販売台数は12四半期連続で低下している。
IDCのアナリストであるRyan Reith氏は、「タブレット市場は実質的に、2014年にピークを迎えた」と語っている。
iPadがいかに落ちぶれたかを、Appleの目を通して見てみよう。iPadは毎年、Appleが開催する「スペシャルイベント」の少なくとも1つで何らかの役割を果たしてきた。
iPadが本当に特別なものに感じられた(iPadのためにイベントを開くことが当然と思われた)最後のときは、2011年にSteve Jobs氏が療養から復帰して「iPad 2」を発表したときだった。しかし、当時タブレット市場はまだ新鮮で、小規模なアップグレード(背面および前面カメラ、プロセッサの高速化)でも興奮を呼び起こすことが約束されていた。思い出してほしいのだが、これは競合他社が多くの似たような製品を市場に投入する前の出来事だった。
それ以来、iPadはほかのApple製品とスポットライトを分かち合ってきたが、「iPad Air」や「iPad mini」といった注目に値するモデルは主役を務めることができた。2015年に発表された大型の初代「iPad Pro」のときは、そうはいかなかった。iPad Proは、「iPhone 6s」の前座役にとどまった。小型化された2016年の9.7インチiPad Proも、同日に発表された低価格の「iPhone SE」の脇役だった。
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