「デスクトップPCがついにクールになった(”The desktop PC is finally cool”)」という記事が3月上旬にThe Vergeで公開されていた。2017年初めに発表されていたHPの「Envy Curved All-in-One 34」やDellの「XPS 27」といった新製品が発売になったことを受けて書かれたものと思われる記事で、Microsoftの「Surface Studio」(2016年秋に発表)のことも触れられている。
PC(Macを含む)といえば最近は、「販売台数の前年度割れ」といったニュースをもっぱら目にする。また仕事で使われることが多いノートPCに比べると、デスクトップPCが脚光を浴びることはかなり少なくなった。ただし、そうしたなかでSurface Studioが登場し、一体型のデスクトップPCに対する見方が変わり、まだ大きな変化の可能性が残っていることが明らかになってこの分野がにわかに活気づいた。The Vergeの記事をざっくり要約するとそんな内容になる。
ここで紹介されているHPやDellの製品は、いずれもかなり嗜好性の高いもの、あるいはニッチな市場に向けたもの、という印象だ。
Surface Studioのように「デジタル・アーティスト向け」と潜在ユーザーが明示されている訳ではないが、34インチの横長(21対9)曲面ディスプレイにしても、あるいは10スピーカーのサウンドシステムにしても、それがアピールする対象はかなり限られているはずだ。さらに比較的高価な価格(1500ドルとか、1750ドルとか)を考慮すると、やはりライトユーザーを意識したものとは思えない(The Vergeはその点について「日常的なタスクに加えて、写真の編集のような付加の高い作業もこなせる」と指摘している)。
スマートフォンがこれだけ広く普及した時代に「PCでないと具合がよくない」という用途もかなり少なくなった。新しいデスクトップPCがこうした形で進化しているのも、そんな時代の流れを受けたものと思える。
ところで、この記事と動画を目にして思い出したことがひとつある。それは、飛行機の歴史ーープロペラ機からジェット機への世代交代に触れたある指摘で、指摘の主はBenedict Evans。数年前にシリコンバレーの大手ベンチャーキャピタル、Andreessen Horowitz(a16z)に移ってテクノロジー分野のアナリストをしている人物だ。
Evansは、新しい技術がそれ以前の技術にとって代わる端境期の話を過去に2度記していた。いわゆる技術進歩のS字カーブに触れた2016年4月の記事ーー「最後にでてきたものがいちばんいい(”The best is the last”)」というタイトルの記事のなかでは、ジェット機にとって代わられることになるプロペラ機の例を引き合いに出しながら、「ある技術は、それが他の技術に置き換えられる準備が整った時点で、いちばんいい結果を生み出す。そうしたことが技術の歴史のなかには往々にしてある」と述べている。
またこの文章のなかには、「MacBookやWindowsのUltrabookといったジャンルの製品、Intelのx86系プロセッサで動作し、マウスとGUIで操作する製品が最適化の頂点に達している。同時に、スマートフォンも技術進歩のスピードが緩やかになり始めているが、それでもまだ改良の余地が(とくにカメラやバッテリ、それからVR用GPUといった部分に)残されている。スマートフォンのS字カーブはAR技術を搭載した製品が出荷され始めるあたりで平坦になるのではないか」という考えも記されている。
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