デスクトップPCに漂う「プロペラ機」の香り - (page 2)

 またその前(2015年11月)に公開していたモバイル端末の普及や「PCの死」に触れた記事のなかにも、やはり第ニ次世界大戦末期に開発された軍用プロペラ機の例に言及しながら「ある製品は、それが時代遅れになった時に、いちばんいいものになっている(”Things are best when they're obsolete”)」「古いやり方が完璧の域に達した時には、それがほかのやり方にとって代わられる時(”The old way of doing things reaches perfection just as it’s time to be replaced”)」といった指摘をしている箇所がある。

 またこちらの記事には、スマートフォンやタブレットで主流となっているARM/iOS/Androidのエコシステムが、Wintelのエコシステムに比べて優位と考えられる理由なども挙げられている(具体的には出荷・普及台数の圧倒的な多さやバッテリ持続時間の長さなど)。

 さらにEvansは、前者に属するAppleの「iPad Pro」と後者の「Surface Pro」(Microsoft製ノートPC)とが似ているように見える理由について、前者が後者にとって代わる交代期にさしかかっているためとの見方も示している。

タブレットの先にある「新しいPC」

 「PCの定義が変わろうとしている(”The PC is being redefined”)」と題する記事を、RecodeのWalt Mossbergが3月初めに公開していた。この記事のなかでMossbergは、ARMベースのSoCを搭載し、AndroidやiOSで動作するPCの話をしている(その少し前にリリースされたサムスンの「Chromebook Plus」の話題などに刺激を受けた節が見受けられる)。また「自分が話しているのは、ARMベースのプロセッサに移植されたmacOSで動くMacのことではない。iOSアプリも動くMacのことでもない。そうではなく、iPad用に最適化されたアプリだけが動くラップトップのことだ」とも記されている。

 「Chromebook Plus」(Androidアプリも動作可能だが技術的にはこれかららしい)のような例がすでに出始めているにせよ、ARM/iOS/Android系の「新しいPC」が本当に普及・定着するかどうかはまだわからない。Mossbergのいうように、Appleが本腰を入れて動けばそうしたカテゴリー(従来のPCともタブレットとも異なるもの)が新たに立ち上がるのかもしれないが、仮にそうなるとしてももう少し先のことで、いまはまだ夜明け前という感じがする。同時に、冒頭で触れたWintel系のデスクトップPCなどには、どことなくEvansのいうプロペラ機の匂いが感じられる。

 従来のPC(とくにデスクトップPC)がS字カーブの頂点を通過したとすれば、それらの新製品は「最後に出てきた最良の製品」となるかもしれない。

【参照情報】

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]