ピクセルの位置がずれてしまっている箇所があり、ウェブサイトのテキストがきれいに表示されないというのはよくある問題だ。それを見ると、黒いソファの上に白い犬の毛を見つけたときと同じような気分になる。
原因は、JPEGファイル形式にある。このファイル形式ではグラフィックスを圧縮することによって、PC上にすばやく読み込んだり、携帯端末の月間データプランを大量に消費してしまわないようにすることができる。この問題を軽減するための取り組みは多い。Microsoftの「JPEG XR」やGoogleの「WebP」と「RAISR」はその例だ。しかし、JPEGがあまりにも広くサポートされているために、その取り組みは限定的にしか成功していない。
そこでGoogleは、JPEGを圧縮するためのより良い方法を考案した。同社は米国時間3月16日に公開した研究報告の中で、「Guetzli」という技術について詳説している。同社のテストでは、JPEGファイルのサイズが35%縮小されたという。JPEGにとって代わることを目的としているのではなく、ファイルが圧縮されている場合にユーザーがこの問題に遭遇する確率が最小限に抑えられるようにその設定を調整しようというのがその考え方だ。
ファイルサイズの縮小は、一般ユーザーには関係のない技術的な問題のように思うかもしれないが、ウェブサイトを速く読み込むためには不可欠だ。HTTP Archiveによると、平均的なウェブページのサイズは現在、5年前の約1Mバイトから約2.5Mバイトにまで膨れ上がっており、ページサイズが大きいほど読み込みは遅くなる。ウェブページの読み込みは、速ければ速いほど誰にとってもありがたい。速ければ、オンラインでのショッピングが増え、より多くのニュース記事が読め、ソーシャルネットワーク上での友人のアクティビティの確認に費やす時間も増える。
GoogleのGuetzliの速度を向上させるために、研究者らは、人間の視覚をモデル化する「Butteraugli」というテストを開発した。圧縮は、欠けていても人間が気付かないデータを除去することによって行われるため、Butteraugliは、さまざまな圧縮設定を自動的にテストすることを目的とする。Guetzliは、JPEG圧縮の2つの特定の部分に作用する。つまり、物体の境界などの詳細部分の記録方法を決定する離散コサイン変換と、保持する色とファイルサイズを縮小するために犠牲にする色を決定する量子化だ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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