Googleは、ブラウザが電力消費に及ぼす影響を減らす計画の一環として、「Chrome」の一部のバックグラウンドタブについて、その抑制に着手することになった。
「Chrome 57」では、この計画の第1段階が開始されている。計画では最終的に、バックグラウンドタブの処理を完全に停止し、デスクトップPCの電力消費やノートPCのバッテリ、CPUリソースにブラウザが及ぼす影響を減らすことを目指している。
Googleによると、バックグラウンドタブは、デスクトップPCにおけるChromeの電力消費のうち、最大で3分の1を占めるという。
「バージョン57から、過剰に電力を消費するバックグラウンドタブのタイマー作動率を制限して、各バックグラウンドタブを抑制する」とGoogleのソフトウェアエンジニア、Alexander Timin氏は説明している。
Googleは2016年8月、JavaScriptのタイマーと呼ばれる機能について、これを作動するために割り当てられたCPU枠を超えるリソースを消費するタブを抑制する方針を発表した。この際、Chromeの開発者は、JavaScriptの広告および分析スクリプトが大量のバックグラウンド処理の主な原因だと指摘していた。
こうした措置は、バックグラウンドでの動作に依存しているウェブサイトの機能を使えなくする恐れがあるので、Googleではバックグラウンド制御を徐々に展開し、開発者に調整を行う時間を与える方針だ。
Googleの説明によると、Chrome 57より前のバージョンでは、バックグラウンドタブの動作への影響を最小限に抑えるために、各バックグラウンドタイマーが最大で1秒間に1回動作できるようにしていた。
「Chrome 57では、アプリケーションがバックグラウンドでCPUを大量に消費している場合、タイマーの動作を遅らせ、CPUの平均使用率をコアあたり1%に制限する」とTimin氏は述べている。
ただし、この新しいポリシーは、バックグランドでオーディオを再生するタブや、WebSocketやWebRTCなどのリアルタイム接続を行っているタブには影響しない。この例外は、Chromeが現在でもウェブをアプリケーションプラットフォームとして取り扱っているという、Googleの認識を示すものだ。
Googleによれば、同社は「『Android』や『iOS』で可能になっているように、(開発者が)どの動作をバックグラウンドで行う必要があるのかを明確にする」のに役立つAPIを開発中だという。
現時点では、この抑制メカニズムにより、ビジー状態にあるバックグラウンドタブの数が25%削減されるとTimin氏は述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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