「Mobile World Congress」(MWC)の会場を歩いていると、5Gを目にしないことはない。
先頃開催されたMWCで、17年前に発売された携帯電話の復活のほかに会場を圧倒した出来事があるとすれば、それは、次世代のセルラー技術が登場したという現実だ。少なくともバルセロナのフィラグランビア展示場では、その技術が実際に登場した。
Qualcommのブースの上には、「5G: From the company that brought you 3G and 4G」(3Gと4Gを皆さんにもたらした企業から5Gが登場)というスローガンが派手に掲げられていた。さらに数歩進めば、Intelの関係者が大きな声で5Gの利点を強調するのが聞こえた。Ericssonのブースに行けば、5Gの利点をデモで紹介する複数の展示物が並んだ、いわば「5G専用通り」があった。サムスンはプレスカンファレンスの冒頭で、新製品のタブレットではなく、5Gについて語った。
5Gに対する期待は1年以上前から話題に上がっていたが、ここに来て、初期の研究開発の成果がようやく現れつつある。5Gは、身の周りのあらゆるものを高速ネットワーク(セルラー接続の100倍、最も速い家庭用ブロードバンドサービスの10倍高速)に接続することで、われわれの生活を変えると期待されている。
しかし、5Gの速さは、接続を高速化するということだけが目的なのではない。3Gから4G LTEへの移行では、接続の高速化が重要な目的だったが、5Gへの進化には、それよりもはるかに多くの可能性が含まれている。速さと応答性、広範囲への普及が組み合わされば、テクノロジの世界でほかに注目されているトレンド技術の能力を最大限に引き出し、自動運転車やドローン、仮想現実(VR)、モノのインターネット(Internet of Things:IoT)などをさらに発展させる可能性がある。
IBB Consultingでモバイル業界のコンサルタントを務めるJefferson Wang氏は、「速度だけに注目していては、5Gのさまざまな可能性の素晴らしさは分からない」と述べている。
残念ながら、消費者が5Gを利用できるようになるのは、まだしばらく先のことである。さらに、同テクノロジの肝心の詳細について、業界の足並みはまだ揃っていない。だが、嬉しいニュースもある。5Gは当初考えられていたより早く登場するかもしれない。
ワイヤレスキャリアが5Gへの移行を切望する理由は明白だ。主力の携帯電話事業は低迷しているため、企業各社はこの新しいテクノロジによって、興奮が引き起こされ、より多くの端末が接続されることを切望しているのだ。
サムスンの米国部門のプレジデントを務めるTim Baxter氏は現地時間2月26日のプレスカンファレンスで、「われわれは、5Gが次の革命であることを完全に確信している」と述べた。
5Gによって実現するさまざまな可能性のほんの一部を、以降のページで紹介していこう。
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