CNET Japan Live 2017

AIは敵ではなく味方、「みんなのAI」--日本マイクロソフトが手がける7つの事例

 2月21日と22日の2日間に渡り、本誌主催のイベント「CNET Japan Live 2017 ビジネスに必須となるA.Iの可能性」を開催した。人工知能、機械学習、ディープラーニングといった言葉を耳にしない日はないほど、AIにまつわるキーワードがあふれている昨今、それらがビジネスにどのような影響を与え、あるいはビジネスでどう役立つのか。実際にAIを活用している各社の見解や取り組みを知ることで、AIの将来性や自社事業への導入の可能性も見えてくるだろう。

 同イベント初日、2番目の基調講演には日本マイクロソフトの大谷健氏が登壇。日本マイクロソフトが提供しているAIに関わる独自の技術を解説し、それらを利用した国内外の企業による7つの最新事例を紹介した。

日本マイクロソフト プラットフォーム戦略本部 本部長の大谷健氏
日本マイクロソフト プラットフォーム戦略本部 本部長の大谷健氏

意外なところで活躍する、MicrosoftのAI技術

 大谷氏は講演の冒頭で、「AIは敵ではなく味方」と断言し、AIに対して一般的に抱かれている「人間の仕事を奪う」といったような悪印象は捨てて、「味方としてどうビジネスに活用していくかが重要」であると力説した。また、Amazon、Facebook、Google、IBMとともにAI技術普及のための連携を行っていることや、AI時代にますます増えると見られる、特許を盾に賠償を迫る「パテント・トロール」から企業が身を守れるよう支援する「Microsoft Azure IP Advantage」という新しい取り組みも紹介した。

日本マイクロソフトはパテント・トロールから企業を守る取り組みを始めた
日本マイクロソフトはパテント・トロールから企業を守る取り組みを始めた
大手テクノロジ企業と連携してAI技術の普及を目指す
大手テクノロジ企業と連携してAI技術の普及を目指す

 日本マイクロソフトは、AI技術として、クラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」で「Cognitive Services」を展開している。同社が提供する25の学習済みのAIサービスをAPI経由で利用して、多くの企業が法人向け・一般ユーザー向けのサービスを提供しており、講演で同氏はその中から国内のサービスを中心に披露した。

 1つ目は、羽田空港が進める実験プロジェクト「Haneda Robotics Lab」において、2016年に行われたNextremerによる実証実験「MINARAI」だ。これは、将来的に海外から4000万人の訪日客が見込まれるなかで、たくさんの空港利用客に対して音声と画像で楽しく、適切に、効率良く施設案内するもの。人間のような対応が可能になることを目標に、自社の対話エンジンとCognitive Services(Face APIとBot Framework)を利用して開発している。

羽田空港が進めるプロジェクト「MINARAI」(Nextremer)
羽田空港が進めるプロジェクト「MINARAI」(Nextremer)

 2つ目は、コンビエンスストアチェーン「LAWSON」のLINE公式アカウント「ローソンクルー♪あきこちゃん」。友だち登録しているLINEユーザーからの発言に応じて自動でメッセージを返す、いわゆるボットだが、実は日本マイクロソフトのLINEアカウント「女子高生AI りんなちゃん」がベースになっている。ただし、「りんなは、ツンな対応をすることがある」(大谷氏)ことから、「あきこちゃん」の「マジメで清楚なところ」を残しながら対話できるようカスタマイズしているという。バックグラウンドには、機械学習基盤「Microsoft Azure Machine Learning」が用いられている。

LINE公式アカウント「ローソンクルー♪あきこちゃん」のボットには「りんな」の技術が用いられている
LINE公式アカウント「ローソンクルー♪あきこちゃん」のボットには「りんな」の技術が用いられている

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