LINE出澤社長がMWCで披露した「AI戦略」--“ローカル”に寄り添いAmazonに対抗

 スペインのバルセロナで開催された「Mobile World Congress 2017」で、LINE代表取締役社長の出澤剛氏は日本時間3月2日、AIプラットフォーム「Clova」を発表した。ポストスマートフォン時代に向けた布石となるもので、同社初のスマートスピーカ「WAVE」とともに、2017年初夏に提供を開始する。「Amazon Alexa」などと対抗する格好だが、ローカルでの強さが重要になるとみている。

LINE代表取締役社長の出澤剛氏
LINE代表取締役社長の出澤剛氏

 基調講演に登壇した出澤氏は、「ポストスマートフォン、ポストディスプレイ、ポストタッチはAIになる」と切り出した。そして、「世の中を大きく変えたモバイル、インターネットのようなもの」とAIを位置づける。スマートフォン時代に生まれ、成長してきたLINEだが、スマートフォンの画面を介さないトランザクションが拡大していく中で、次の目標は「アジアをリードするクラウドAIプラットフォーム」と話す。そして、LINEのAIプラットフォームとしてClovaを発表した。

 Clovaは、LINEとグループ企業であるNEVARとの共同プロジェクト。「クローバ(Clova)」と話しかけてオススメの音楽を聞いたり、目的地までの時間を尋ねて音声で回答をもらったりできるもので、Amazonの音声認識AI「Alexa」に近い。これまではタッチやキーボードによる入力で行っていた問い合わせを、会話する感覚でできるようになる。”幸福”のクローバーから名付けたもので、AIによって変わっていく社会に対する期待を込めたという。

 技術的には、頭脳に相当する「Clova Brain」と、五感に相当する「Clova Interface」によって構成される。Brainは自然言語理解、レコメンドエンジン、検索エンジンなどを含み、Clova Interfaceには、音声認識・音声合成の「Clova Voice」や画像認識の「Clova Vision」などが含まれる。


 単にインターフェースとコンテンツを結びつけるのではなく、Brainで受け取った情報を理解して音声で回答したり、適切なコンテンツサービスをレコメンドしたりするといった「最適化した回答」を提示する。ユーザーの嗜好などを学び、使えば使うほど賢くなるという。Clova BrainとClova Interfaceを中核に、デバイスとのインターフェースとなる「Clova Interface Connect」、コンテンツやサービスとの連携のための「Clova Extension Kit」を備える。

スマートスピーカ「WAVE」
スマートスピーカ「WAVE」
スマートディスプレイ「FACE」
スマートディスプレイ「FACE」

 これに合わせて、Clovaを搭載したデバイスとしてWAVE、Clovaデバイスと連携するハブの役割を担う「Clova App」も発表した。WAVEはLINE初のデバイスで、Amazonの「Echo」のようにリビングルームなどに置いて話しかけて使うスマートスピーカだ。出澤氏は、参考商品としてスマートディスプレイ「FACE」も紹介した。WAVEは、2017年初夏に日本と韓国で発売する予定で、FACEは冬を目指して開発を進めているという。

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