LevandowskiのUber加入は、スポーツの世界にたとえると「あるチームの中心でリーグ全体を代表するようなスター選手が、優勝争いしていたライバルチームに移籍した」ようなものといえそうだ。
Googleの自動運転車開発に焦点を当てた2013年11月のThe New Yorkerの特集記事には、Levandowskiが「主役」のひとりとして登場している。試しに個人名の登場回数を調べてみると、Levandowskiが57回、それに対して2016年夏までプロジェクトの技術責任者だったChris Urmsonは7回、またGoogle X(R&D部門)の立ち上げ責任者として知られるSebastian Thrunも33回しか出ていないことがわかる。
この記事にはLevandowskiのプロフィールがかなり詳しく書かれている。同氏の「父親が米国人のビジネスマンで母親がフランス人の外交官」であること、この母親から話を聞いてカリフォルニア大学バークレー校在学中の2004年に最初のDARPA Grand Challenge(ロボットカー・レース)に参加することにしたこと、あるいは「同レースに出走した自動運転オートバイの開発中には、ある研究室の博士号課程の学生の半数がLevandowskiのプロジェクトで働いていた」などだ。
さらに、「大学1年の時には同大学の学生向けイントラネットのサービスをはじめ、1年に5万ドルも稼いでいた」「自動運転オートバイ開発では、主要メンバーをプロジェクトに専念させるために、そのメンバーのガールフレンドに一時的な手切れ金として5000ドルを渡していた」といったエピソードも紹介されている。
「良くも悪くも強いリーダーシップの持ち主」「若い頃から技術に関する点に加えて、商才も持ち合わせていた」「目的達成のためには手段を選ばない人物」。これらのエピソードから伝わってくるのは、そんなLevandowskiの人となりであり、またそんな同氏がUberの最高経営責任者(CEO)、Travis Kalanickと「馬が合った」というのも納得のいく話だ。
なお、今回の訴訟について、Uberからは「事実無根」とする声明が出されているだけで、いまのところGoogleの言い分がどの程度正しいのかはよくわからない。Googleから出された情報(をもとに書かれた記事)を見る限りでは、Levandowskiらの情報持ち出しがかなり計画的なものであった可能性や、Ottoの設立に関して早い段階から関与していた可能性も考えられる。そのあたりの事柄についてはまた別の機会に改めて紹介したい。
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