ドローンが路上の高さから飛び立ち、マンションの30階にある自宅のバルコニーに到着するのが見えた。ドローンはテーブルの上にそっと箱を置くと、またすぐに飛んでいった。
箱の中には、友人のBarbaraに作ってあげようとしていたサラダに必要なオレンジがいくつか入っていた。いや、少なくとも入っているはずだ。
確信を持って言えない理由は、(Barbaraや自分のマンション、ドローンと同じように)これらのオレンジも、未来の都市での生活がどのようなものになるかを示すためにFord Motorが考案したフィクションだからだ。
これはすべて、仮想現実(VR)デモの一環だ。このデモは、ただ現実より魅惑的で洗練された生活を描いているだけではない。ドローンと自動運転車を組み合わせて人々の自宅に直接荷物を届ける可能性を示唆しているのだ。
こうしたラストマイル配送をどうすれば簡単にできるかについては、ドローン開発企業からハイパーループ(次世代の輸送システム)を思い描く夢想家まで、テクノロジに精通した多くの輸送関連の起業家が頭を悩ませている。Fordの社内コンペ「Last Mile Mobility Challenge」は、最終目的地までのわずかなラストマイル配送を行う人やモノを支援する方法に注力するよう、従業員に促すものとなっていた。
今回のVRデモは、Mobile World Congress(MWC)におけるFordの展示で筆者が体験したものだ。これは社内コンペの受賞作の1つである「Autolivery」というコンセプトがベースとなっているる。
このコンセプトでは、自動運転の貨物配送車を活用して荷物を正しい住所に運び、仕分けをして正しい荷物を取り出したらドローンを準備し、荷物を引き渡して飛び立たせる。安全衛生上は最悪にも思えるが、VRのデモではバンに近づいて、さまざまなメカニズムが実際にはどう動くかを確認することもできた。プロセスは全体として、理論上はかなり洗練されているように見える。
しかし、筆者がマンションの30階に住むという夢のような未来はかなり現実離れしており、それと同様、未来のバルコニーにオレンジを配達させるのに必要な技術はまだコンセプトにすぎない。しかし、Fordは前進していると確信している。同社はライドシェアリングサービス向けに、2021年までに完全自律型の車両を実用化させたい考えだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス