元PepsiCoの最高経営責任者(CEO)で、Appleを経営するためにシリコンバレーに誘われたJohn Sculley氏は、恐らくSteve Jobs氏を解雇したことで最も知られている。だが、同氏は新たな足跡(そくせき)を残そうとしている。
Sculley氏は最近、起業家を指導し、“高潔な理念”に取り組む新興企業に出資している。同氏が“高潔な理念”というフレーズがビジネスに使われるのを初めて聞いたのはJobs氏とBill Gates氏からで、それは1980年代のことだった。
「あの2人は多くの点で意見が合わなかったが、この点では一致していた。彼らはそれぞれ、世界を革新しようとしており、思考のための、本当に生産的なツールを作ろうとしていた。それが彼らの“高潔な理念”だった」とSculley氏は10月のインタビューで語った。
今年77歳になるSculley氏は、この思想に導かれ、新分野の可能性に夢中になっている。同氏が関心を持つのは、特にビッグデータにおける人工知能(AI)技術だ。
同氏が出資する数社の新興企業は、機械学習などの技術に取り組んでいる。Sculley氏は、友人である著名発明家Ray Kurzweil氏のアイデアについて長々と語ってくれた。Kurzweil氏は、向う数十年中にAIと人間の知性は融合するというアイデアを推進している。
「だがそれは私が今取り組んでいることのはるか先の話だ。私は現在実際にできることに集中している」とSculley氏。
同氏がここのところ最も関心を寄せているのは、疾病を撲滅し、加齢を食い止めて人間の寿命を80歳から120歳に伸ばすことだ。
Sculley氏と、米国防高等研究計画局(DARPA)のGeoff Ling氏など同氏と共にこの問題に取り組んでいる人々(Sculley氏はDARPAのアドバイザーを務めている)は、既にこの世に生を受けている今日の子どもたちは125歳まで生きる可能性があるとみている。それよりずっと早く、がん、アルツハイマー病、パーキンソン病などを含む多数の疾患の治療法が確立されると同氏は予測している。Sculley氏はまた、再生医療および高精度医療の革命が、それらを患者に提供するシステムなどの大幅な改善と共に起こると確信している。
Sculley氏は、ヘルスケアおよびフィットネスの流行に乗ったのは、最近のことではない。同氏はフィットネストラッカー企業のMisfit(この社名はAppleの1997年の広告キャンペーン“Think Different”へのオマージュだ)の共同創業者であり、健康管理プラットフォーム「Rally Health」に出資している。この2社は、それぞれFossilとUnitedHealthCareに買収された。同氏は現在、処方薬提供システムの効率化を目指す新興企業(RXAdvance)と、慢性疾患の患者のための遠隔医療企業(MDLive)に関わっている。
そして、同氏はこれらの企業を立ち上げるために、テクノロジ業界の重要人物と協力している。例えば、UberのアドバイザーであるOscar Salazar氏をRXAdvanceの取締役に迎えている。
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