パイオニア、カーエレ資源集中の「構造改革はひと段落」--減収も営業利益は計画通り


パイオニア代表取締役兼社長執行役員の小谷進氏

 「大きな構造改革はひと段落したとみている」――2月13日に実施した2017年3月期第3四半期の決算説明会で、パイオニア代表取締役兼社長執行役員の小谷進氏は現状をこう説明した。

 パイオニアはここ数年にわたり、経営資源をカーエレクトロニクスに集中するための選択と集中を推進してきた。2014年には長く取り組んできたホームAV事業とDJ機器事業の売却を発表。2017年1月には、“大きな事業”として残っていたCATV関連事業をTechnicolor Delivery Technologies S.A.S.に譲渡することで、株式譲渡契約を結んだ。

 「そのほかの事業については、将来の事業の柱として育てるべき有機EL照明、医療機器などに取り組んでいる」(小谷氏)とし、新たなフェーズに移ったことを感じさせる。

 2月8日には、オランダの地図プロバイダーであるHEREと地図と位置情報サービスで提携することを発表。それぞれが保有する地図と自動車関連技術などを組み合わせ、グローバルな標準地図の相互提供と自動運転用高精度地図ソリューションの提供に向けた取り組みを進める。

 「HEREは、日本の地図も提供できるようになると同時に、パイオニアがクラウド上に持つプローブデータや交通情報も提供できるようになる。相互で連携することで、自動運転社会に向けたグローバルデータエコシステムを構築できる」と小谷氏は今後の展開を話す。

 有機EL照明についても、1月にコニカミノルタとの合弁会社「コニカミノルタ パイオニアOLED株式会社」を設立することを発表。美容照明や医療照明などの特殊用途に加え、車載用照明を軸としたフレキシブル有機EL照明の地位の確立を目指す。

 だが、CATV事業の譲渡は、第3四半期(2016年10~12月)の決算で当期純損失40億円という形になってあらわれている。売上高が前年同期比15.8%減の984億円、営業利益が同ほぼ横ばいの19億円、経常損失は10億円の赤字となった。純損失は為替差損の影響もあったが、事業構造改善費用、CATV関連事業譲渡損失により計上している。

 9カ月通期(2016年4~12月)では、売上高が同15%減の2888億円、営業利益は同11.8%減の34億円、経常利益は同21.8%減の19億円、当期純損失は同17億円の赤字から30億円の赤字へと赤字幅を広げた。


2017年3月期第3四半期、9カ月通期連結業績

 主力のカーエレクトロニクス事業は、売上高が同14%減の782億円で、営業利益は同17億円から20億円に3億円の良化。カーナビ、カーオーディオともにOEMビジネスが苦戦したものの、販売費と一般管理費の減少が増益に結び付いた。

 その他事業でも売上高が同24%減の202億円になったものの、原価率の良化や販売費、一般管理費の減少により営業利益は3億円と2億円の良化となった。


カーエレクトロニクス

その他

 小谷氏は「売上高は円高の影響もあり前年同期を下回ったが、営業利益は前年同期並みで、ほぼ計画通り」とし、2017年3月期通期の連結業績予想も、売上高は前回予想の4000億円から3900億円に下方修正したが、営業利益80億円、経常利益70億円、当期純利益10億円は、据え置いている。

 

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