LINEが「カメラアプリ」を4つも提供する理由--フィルタ会議では“アゴ談義”

 全世界で3億ダウンロード を突破した「B612」というカメラアプリをご存じだろうか。2014年8月に自撮り用アプリとして配信後、世界的な「セルフィーブーム」とともにアジア・中南米・東欧州地域を中心に利用者が拡大。ローンチから2年半経過した今でも順調にユーザー数を伸ばしており、アクティブユーザーは1億人を超えている。


3億ダウンロードを突破したカメラアプリ「B612」

 そのB612だが、LINEの冠が付いてないものの同社が開発・提供している。LINEではB612のほかにも、「LINE Camera」「Foodie」「LOOKS」と、カメラアプリだけで4つものアプリを展開している。

 メッセージやスタンプのコミュニケーションを主体とするLINEがカメラアプリを手掛ける理由は何か。複数のカメラアプリの展開もあわせて、LINEでカメラアプリのマーケティングを統括する葛島智子氏(マーケティングコミュニケーション室 副室長)に、同社のカメラアプリの現状と狙いを聞いた。

 なお、LINEは2月23日にカメラアプリ事業の組織再編について発表したが、本取材はそれ以前に実施したものである。

LINEの葛島智子氏(マーケティングコミュニケーション室マーケティングチーム マネージャー)
LINEの葛島智子氏(マーケティングコミュニケーション室 副室長)

――それぞれのカメラアプリの位置づけを教えてください。

 B612はもともと自撮り専用アプリとして2014年にローンチしました。現状はLINEにおけるフラッグシップアプリとして、すべてのカメラアプリのベースになっています。単に自撮りを楽しむだけでなく、外撮りに利用したり、独自のARフィルタや動画寄りの機能を提供したりと「カメラを楽しむための機能をすべて入れる」という発想で開発しています。

 LINE Cameraは、撮影した写真にスタンプを追加したり、フレームを変えられるデコレーションアプリです。LINEとして、一番最初にローンチしたカメラアプリだったのですが、今では写真の加工に重点を置いています。

 Foodieは、InstagramなどSNSに投稿する食事を綺麗に撮影できるように特化したカメラアプリです。あくまで食べ物がメインですが、空なども綺麗に撮れると一部のユーザーでは風景写真用のアプリとしても利用されています。

 LOOKSは、メイクアップというカテゴリのカメラアプリで、自撮りした写真をベースに、実際の化粧品の効果をシミュレーションできます。各ブランドのECなどへそのまま移動できるので、シミュレーションした化粧品を購入することも可能です。カメラアプリではあるもののメディア的な側面もあり、昔は雑誌で化粧品を見て、実際の店舗で触れるのが普通でしたが、化粧品を選び方も徐々に変わってきました。

「B612」「LINE Camera」「Foodie」「LOOKS」
LINEのカメラアプリ群。左から「B612」「LINE Camera」「Foodie」「LOOKS」

――なぜ、4つものカメラアプリを提供しているのでしょうか。

 あえて分けています。Foodieであれば、食事特化型なので単体アプリとして切り出した方がユーザーにとって便利ではないかなど、カテゴリ別にアプリを出して、ユーザーに受け入れられるかどうかを見ています。ですので、例えばLOOKSがB612内にあった方が良いというユーザーの傾向が分かれば、機能をB612内に取り込むという選択肢も出てきます。

 若年層を中心に多くのユーザーは、複数のカメラアプリを使い分けています。さまざまな種類のアプリを出すことで、カメラアプリとして“レギュラー入り”させる狙いもあります。

――カメラアプリはLINEの戦略上どういった立ち位置なのでしょうか。マネタイズなども考慮されているのでしょうか。

 カメラアプリは基本的に「無料で使うもの」という認識が一般的だと思いますので、アプリ単体でのマネタイズは考えていません。LINEでのコミュニケーションの活性化を目指しています。LINEはテキストとスタンプのプラットフォームですが、写真と動画をB612で活性化することで、コミュニケーションの流通量を増やしたいと考えています。

 昔は、撮った写真を共有することが一つの楽しみだったと思いますが、最近では、友達と集まった場所で一緒に写真を撮ること自体がコミュニケーションになっています。そのため、カメラを通したコミュニケーションを楽しんでもらうために、顔認識フィルタやARフィルタなどの新機能を取り入れています。また、撮った写真をLINEで共有することで、さらにコミュニケーションが発生します。

 カメラアプリはトレンドの移り変わりが早く、一瞬盛り上がってすぐに消えてしまうものも多いです。特に、若年層はトレンドごとにアプリを乗り換えますので、リリースから2年半経過しても現状の数字をキープできているのは、この分野では良いことかなと思っています。トレンドをいち早く取り入れることが、B612が支持されている一番の要因だと思いますし、今後もユーザーニーズに合わせてトレンドを取り入れていく予定です。

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